バイオマス発電と林業人材

  • 2019年10月10日

固定買取制度の認定を受けたプロジェクトの80%が稼働していない。

太陽光発電と異なり、天候に左右されない安定的な電力供給が可能となるバイオマス発電だが、当初からの懸念通りとなった。

すなわち、国内での木質材の供給ができないことである。

これだけ急速にニーズが出てきたからといって、林業の人材がそれを賄うほど育成ができていない。

当たり前である。

長年にわたり、国内林業はお金にならないとして産業としては衰弱してきたわけだ。

高度成長期の住宅ラッシュを賄うために、輸入材を実質関税ゼロにしてきたのは日本の政策である。

今更、急に木材を切り出して来いと言われてもできないのは当然である。

現在は、輸入木材もしくは椰子のPKSが主流となっている。

これらを輸入するのは船による輸送だ。

それが悪いと言っているわけではない。

港近くの発電所であれば輸送コストも低く済むが、内陸部であれば陸送にお金がかかる。

輸入燃料の確保も様々な困難がある。

コンサル業務として、これらの確保に奔走したこともある。

現地との交渉はなかなか大変なのである。

日本は森林大国である。

国土の2/3が森林である。

険しい山も多く、林道の整備が行き届いていない山が多い。

切り出すのも、運ぶのも大変なのである。

国産材は輸入品の倍以上の価格となってしまう。

FITは、電力買取価格は電気代に上乗せされている。

つまり、家庭や企業が負担したお金が、海外に流れている状況である。

持続可能なエネルギー供給を目指すためには、林業家の育成に資金を回し、そして林道整備などを早期に促進していかないと改善されない。