講演@早稲田大学

  • 2009年11月13日

昨日は早稲田大学で講演会をさせていただきました。
皆さん夜遅くまで参加してくださり様々な質問をいただきました。
学生の環境への意識は年々急速に高まってきているようです。
数年前までは考えられなかった事です。
新しい価値観なのでしょうか。
今まで環境コンサルタントとして様々な活動を展開してきました。
省エネ、CDMといった排出権申請、植樹活動、人道支援、カーボンオフセットなどなど。
環境コンサルティングは奥の深い仕事です。
今回のテーマは金融と環境でした。
17年間投資銀行の最前線で働いてきました。
最先端の商品の開発に従事してきました。
あまり金融機関で働いていた事を書いた事はありませんが、実に様々な経験をさせていただきました。

週刊誌が書くようなgreedyな冷徹な面だけではありません。
所詮人間が運営している組織です。
実際はもっと過酷でそしてダイナミックでいてどこかwetな場所です。
1人で10人分も働かなくてはならない場所です。
とことん能力の極限まで求められる戦場でした。
経済の動脈。
しかし万能ではありませんし過度な期待も持つべきではありません。
金融単体で環境を変える事は不可能です。
それは金融機関の本質を知らない者が考える幻想です。
金融機関出身者でも情けない事に金融万能説を唱える者がいます。
自分の身の丈すら分からなかったのでしょう。
それでも金融が果たす役割もあるはずです。
今後排出権は金融商品として広まって行くのでしょう。
購入者の保護をきちんと行なう為に法的な面からも整備が必要です。
そのためにはライセンスを持った金融機関のみが販売できる制度になっても構わないのではないかと考えています。
現在はデリバリーリスクの他、短期でも長期でも変動率が50%を超えている大きな市場変動に曝されているにもかかわらずone wayのマーケットです。
そしてサーキットブレイクもありません。
購入者にリスク確認書の交付もされていません。
資産計上したももの残念ながらすぐに減損を計上した企業もあります。
販売者側の説明責任についても何かレッスンは無かったのでしょうか?
まだまだ未成熟な市場です。黎明期です。
排出権というとCERのみを思いがちですがその需給のみをみていると相場を見誤ります。
ポスト議定書に向けてCERの価格が一方的に上昇するとする短絡的な見方は危険です。
CERの他にも幾つかの巨大な排出権市場がありそこには独特の購入者がいるからです。排出権市場の内情に詳しく、そして相場に長けた者しか扱えないのではないでしょうか?
既に幾つかの金融機関は海外の排出権価格連動債を数年前から国内で販売しています。
投機目的での購入者が増えている昨今、販売業者の矜持はきちんとしているのでしょうか?
リスク分析はきちんと購入者に説明できているのでしょうか?
市場の健全な発展を願って止みません。
学生達の熱心な質問に答えて行くと時間が幾らあっても足りませんでした。
環境問題を感情論にすり替えたり家庭ゴミの分別だけで終わらせたりしてはいけません。
社会起業家万歳、環境ビジネス最高と安易に若者を煽ってはなりません。
きちんとした知識を習得し、方針とリスクをきちんと見定めてから環境分野に飛び込んで行って欲しいものです。