円高進行について

  • 2011年08月02日

米国債のデフォルトが回避されたにも拘らず円高が市場最高値で推移しています。
何故でしょう。今までは円高の要因を海外に求めて、日本の金融政策の是非についての議論を避けてきているように思えます。
ちょっと前にはギリシャに代表される欧州の財政問題の為だといい、リビア中東情勢だといい、3.11の直後には復興財源確保の為に米国債を売って円に戻しているのだといい、最近では米国の債務上限問題だと言う。
日本にも大きな財政問題があるにも関わらず円に通貨が流れる説明にはなっていません。
増税すればどうなるか?
この震災後に更なる不況が始まった中で内需は急速に落ち込みます。
政府に吸い上げられると新たなデフレの進行をよび円相場が上昇する。
この実質金利上昇は日銀の追加融資や、為替介入と行った場当たり的対応では根本的な解決は図れません。
デフレ脱却に対する強い姿勢が見えない限りスパイラルが長引くのは必須です。
どうすれば解決できるのか?
大きなテーマですが次の二つは如何でしょうか?
「投機筋の規制」
自由経済は守るべきですが、週末にヘリコプターでハンプトンの別荘に行くような、ヘッジファンドなどが人口に占める割合は限りなく零パーセントに近いとおもいます。
投機筋によって相場が急変動した時に用いる資金は税金であり、全国民に関係している事です。
これは日本に限った事ではありません。
自由経済が根底である米国でも投機マネーの抑制と金融危機の再発を目的とした金融規制改革法案が丁度1年前に成立しています。
為替は実需に基づく取引が根底であるべきであり、投機に使うのであれば実需に影響のないインデックスを他に作ってほしいと思います。
「復興ドル建債」
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=ahbGAf75FABg 
以下Bloombergニュースより
『中西氏は、1年で約15兆円もの満期を迎える米国債を再投資せずに日本政府や財投機関が復興ドル債の形で発行して外為特会が購入し、為替スワップを通じて円資金に換えることで復興に活用できると提唱。
  これに対し野田財務相は「外為特会が政府短期証券を発行して得た外貨資産を復興ドル債という政府の別の債務として引き受けることは本来、一般会計やほかの政府機関が資金調達すべき債券を外為特会に負担させることにほかならない。慎重に考えるべきだ」と反論した。』
これは筋が通っていません。政府としての取組を国民は求めているのであり議論を展開してほしいのです。
政府のお財布は元来一つのはずです。その財布には小銭ポケットや札入れの場所が小分けにされていますが、今はお財布の中身の移動ぐらいは融通を利かせなければ国難を乗り切れない時期であるはずです。
外為特会とは外国為替資金特別会計であり外貨準備金の為の口座です。
英国、米国と比べて金融債務を差し引いた純債権ベースでは大幅な金融債権保有国です。
日本は80兆円近くも保有している必要は薄いはずです。
東日本大震災復興のために金融当局ができることはもう少し大きいはずだと思うのは私だけでしょうか?