大阪生まれの大統領

  • 2007年12月20日

お隣韓国の大統領選挙の結果は大方の予想通り20代から30代の若者層の支持を集め李明博氏が勝利した。今後の経済の舵取りに対する期待の表れである。88万ウォン(約10万円)とは大卒の非正規職の平均給与額だ。20代は韓国で「88万ウォン世代」と呼ばれている。大卒就職率は48%まで低下している。明らかに盧武鉉政権の経済運営は失敗だった。


リクルーティングで随分と色々な国の学生をインタビューしてきた。ボストンフォーラムでは一日に100名以上の学生をインタビューした。面接した学生の大半が日本人にも関わらず最終候補に残るのは韓国人留学生が多かった。高い学費を支払い留学しているにもかかわらず英語すらろくに習得していない日本人留学生が多かった。韓国人留学生のハングリー精神というかガッツには到底かなわない。私にはわからないが戦後の日本を復興させた世代のサラリーマンには同じようなガッツがあったのではないかと思う。経済至上主義に対する是非はともかくとしても、あまりの頼りなさに日本の将来を危惧してしまう。ゆとりある教育プロジェクトの文化省の責任者だった輩は、猛烈な進学校の理事に転身している。韓国名物の猛烈受験地獄が正しいとは思わない。しかし、円周率を3にしてしまう教育が正しいとも思えない。世界と学力テストで比較して、科学と数学の得点はOECD平均を上回っている。〇六年調査で日本は科学六位、数学十位、読解力十五位である。わずか六年前には日本は「科学」二位、「数学」一位、「読解力」八位だった。調査対象の高校一年生は学習量が軽減された「ゆとり教育」世代に当たる。すでに中央教育審議会はゆとり教育からの方向転換を示している。


猛烈に働く人の多い韓国。その中でも、現場重視で「死ぬほどの仕事ぶり」といわれる男。「ブルドーザー」李氏は「危機にある韓国経済を再生させる」と勝利宣言で述べた。薄汚れた高速道路下の溝川を綺麗な河にしてバス専用道路を設けたソウル市長時代。猛烈な実務家である。個人的な意見ではあるが、経済至上主義に代わる何かを日本が示すことができるのであれば、経済が後塵を拝しても構わないかもしれないとは思っている。しかしその片鱗が見てこない。小さな利得にしがみつき、大局を見失ったようだ。一昔前の日本のエリート像は脆くも崩れ去っているというのに、勢いのある20代が育ってきていない。これもITバブル崩壊の余波なのだろうか?
日本人は勤勉であるといわれる。今の世間にも当てはまるのだろうか?私には甚だ疑問である。確かに心の優しい人の多い国だろう。しかし、世界的競争力において過去の栄光に縋りついてばかりいては追ってくるものに容易にその座を譲り渡してしまうだろう。