本日、脆弱なコミュニティの食料安全保障の改善のため、植林によるカーボン・オフセットのパイロット・プロジェクト「一村・一森林を食料安全保障のために(One Forest One Community for Food Security)」を開始しました。
モザンビーク大統領のイニシアティブ「一児童・一木、一村・一森林(One Child-One Tree, One Leader One Community Forest)」キャンペーンを推進します。
マプート –WFP国連世界食糧計画は本日、日本のカーボン・フリー・グループのカーボン・フリー・コンサルティング社からの重要な寄付により、「一村・一林を食料安全保障のために(One Forest One Community for Food Security)」パイロット・プロジェクトをモザンビーク共和国ガザ州マバラネ郡で開始しました。
ガザ州のマバラネ郡は、過去には森林資源に恵まれた地域でしたが、商業木炭生産、焼畑農業、森林火災等人々が生活を維持するために必要な活動のため森林が急速に減少しています。森林はどんどん減少・劣化し、その結果として旱魃や洪水の発生頻度が上昇したり、浸食が発生して土壌の養分を減少させ、残存する最低限の栄養素も洗い流してしまうことなどにより、農業環境と生産性はさらに悪化し、貧しい人々の生活をさらに脆弱なものにしてしまいます。
モザンビーク政府は、社会行動局、土地森林局を通じて、WFP国連世界食糧計画とJICAの支援により、対象とする村において食料安全保障の改善と貧困削減を目的としたプロジェクトを導入することとした。このプロジェクトは日本のカーボン・フリー・コンサルティング社の寄付によるものであり、フード・フォー・アセットによりアグロフォレストリーを導入し、フード・フォー・トレーニングにより薪を節約できる改良かまどの作成技術の習得を行います。
ガザ州知事のライムンド・ディオンバ氏は「これはアグロフォレストリーの推進により、大統領のイニシアティブによる気候変動による悪影響との闘い、貧困削減、持続可能な森林経営の推進のための国家キャンペーン『一児童・一木、一村・一林』を推進するモデルプロジェクトです。」と述べました。
12月19日、マバラネ郡の村でプロジェクトの開始を記念して植樹祭を開催します。参加する村人は一家族あたり45本のカシュ‐の苗木と4本のモリンガの苗木を、畑に植えます。村人は20年間に渡り、マバラネ郡農業普及局、ガザ州農業局とカシュ‐公社の支援を得てこれらの木を育て周辺の森林を守る契約をカーボン・フリー・コンサルティング社と結びます。農業省土地森林局はJICAとの技術協力により森林をモニタリングします。カーボン・フリー・コンサルティング社は、カシューナッツの木が成長することにより蓄積される炭素を、カーボン・オフセット権として販売し、カーボン・フット・プリントを減らしたい人々や企業が購入します。カーボン・フリー・コンサルティング社は、このビジネスによりさらなるプロジェクトが実施できるほどの利潤が上がった場合には他のコミュニティを対象に実施し、プロジェクトを拡大します。
村人は、カシューナッツの木を植えたいという強い要望を持っています。カシュ‐の木は乾燥し劣化した土壌でも成長し、また、カシュ‐ナッツは良い安定した価格でこの地域で取引されるからです。植林後3年目からナッツの実がなりはじめ、およそ30年間にわたり収穫ができます。ムアマンジェレ村長のポール・ムシャベ氏は「村の食料安全保障の状況を改善するために我々は一生懸命このプロジェクトに取り組む。もう生活のために木炭生産をする必要もなくなる。」と述べました。また「子供たちのためにも、カシューナッツの木と周辺の森を守っていく」とシャベ村長のジョージ・フィリップシャウキ氏は述べました。
村人はフード・フォー・トレーニングで薪の使用量を40%減らすことができる改良かまどの作成方法を習得します。村の女性、トラベ・ムカスアンさんは「このかまどがあれば、毎日の女性と子供たちの薪収集の労力を減らせる。」ととてもうれしそうに話しました。
このプロジェクトは地球規模の気候変動対策の課題である緩和策に貢献するとともに、人々の適応能力を強化することにより村人に裨益するものとなっています。
カーボン・フリー・コンサルティング社長の中西武志氏は、「アフリカは今、経済発展の土地と言われていますが、貧困はいまだ重大な問題です。人類の歴史は私たちに急速な開発はいつも、人々の暮らしを支え、食糧生産の基礎である環境の劣化の問題を伴うものだったことを教えています。このプロジェクトと地球規模のカーボン・マーケットをつなげることにより、私たちは2つの異なる世界に住む人々-よりよい環境に住みたいと考える人々と食料安全保障の改善のための援助が必要な人々-の間に橋をかけたいと思っています。」と述べました。
WFP世界食糧計画モザンビーク代表のシルビア・カルソ氏は、「カーボン・フリー・コンサルティング社の貢献、モザンビーク政府のイニシアティブとJICAの協力に感謝し、このプロジェクトの今後の発展に期待します。」と述べました。