【レポート】COP15 vol.4 ~交渉結果まとめ~
COPレポート最後になる今回は、COP15における交渉内容について、その概要をご紹介したいと思います。
閉幕してからCOP15での交渉に関する情報も収束してきました。
まず、今回の約2週間におよぶ会議の結果、まとめられた内容について確認したいと思います。
閉幕直前に開かれた日米欧や中国など20カ国以上の首脳らの協議において「コペンハーゲン協定」がまとめられ、18日までの会期を延長するなどして全会一致での採択を目指しましたが、一部途上国の反発が根強く、結局この協定に「留意する」との文書を採択して全日程を終了しました。
コペンハーゲン協定には、
「気温上昇を2度以内に抑えること」
「2050年までに世界全体の排出量を50%削減すること」
「2050年までに先進国の排出量を80%削減すること」
といった内容が含まれたものの、日本国内で注目を集めていた先進国の温室効果ガス排出削減目標の数値決定も2010年1月末に先送りされるなど、拘束力のある政治的合意がなされず、結論を先送りにしたかたちになりました。
ドイツの政治家が「これは恥辱だ。各国首脳が自分たちの子どもや孫の未来をもてあそんでいるのだから。国際協力は破局している。」と述べたことが象徴するように、期待されたもののうち最小の成果しか残せなかったという評価が大半を占めます。
一方で、少なからずとも成果もありました。
森林の減少や劣化を原因とする温室効果ガスの排出の削減(REDDプラス)の仕組みを活用し、促進していくという内容が盛り込まれました。途上国を中心とした国々では森林の過剰伐採や、農地開発による吸収能力の低下が進んでおり、温室効果ガス排量出全体の約2割に相当するとの試算があります。自然・森林が本来持つ力を有効的に活用することは、多くの面で優れていると言えます。
また、先進国全体で、2010~2012年の間に計300億ドルの支援を行うこと。さらに、先進国は2020年までに1000億ドルを拠出し、途上国の取り組みを支援することなどが同協定に盛り込まれました。ただ、いずれも具体的な方法や指針などは含まれません。
次回、COP16は2010年11月にメキシコで開催される予定で、今回コペンハーゲンで達成できなかった、京都議定書に代わる新議定書の策定を目指すことになりますが、その前に特別に会議を開催するという可能性もあるようです。
それでは、4回にわたってお伝えしてきたCOPレポートを、これにて終えたいと思います。