【レポート】COP15 vol.3 ~NGO・パフォーマンス編~
さて第3弾となる今回は、NGOとそのパフォーマンスについてレポートします。
COP15には”Party”と呼ばれる政府代表団の他にも、国際機関やNGOも参加することができます。会場内のスペースのうち、大きな会議場以外ではNGOを中心にブースが多数出展しています。ただしどんなNGOでも参加できるわけではありません。事前に国連に申請して認められた団体しか入ることはできません。なので、会場の外でも入場できなかった団体が様々なアクションを起こしています。
今回COP15に参加して残った印象のひとつは、環境活動団体の存在感の大きさです。日本では一般的にこのような団体はNPO(非営利団体)と言われるのに対して、欧米を中心とする海外ではNGO(非政府組織)と言われます。その所以はその強力な存在感と発言力だと思いました。
<写真:有力NGOが参加するTckTckTckキャンペーンの広告(コペンハーゲン空港にて)>
有力なNGOになると国連に対してもしっかりとした関係を築いており、へたな小国の政府よりも存在感が大きいという印象を受けました。主催側である国連もNGOの参加を保証していますし、会場内のアクションは事前に申請すれば許可されます。また会場外でのアクションも容認するようにデンマーク警察に要請しています。
彼らは国連や政府だけでなく、メディアを上手く使います。会議進行に対する権限のないNGOは、メディアを有効的に利用し、市民からのボトムアップ的な変革を目指します。
日本での報道等ですでにイメージはつくかと思いますが、大人数で街中を練り歩くデモもそのひとつです。今回も12日の数万人が参加したデモを筆頭に、会場周辺や市内各地で多くのデモが行われました。デモというとどうしても暴動に発展してけが人が出るような印象を持ってしまいます。実際に今回も最大で1度に約1,000人が警察に拘束されるという事態になってしまいました。
しかし、実は一部を除いたもの以外の多くは、有力なNGOが企画して事前に警察に対して届けるなど正式な手順をとったものです。誰でも参加できる良さが、逆に手段を選ばない団体や、本来の目的と逸れたことを企むものによって壊されてしまっているのだと知りました。暴力によって、結局意図した方向とは反対に進んでしまうのは、非常に残念に思います。
<写真:デモの様子>
実際に私自身も最大規模のデモの最前列の様子を見ましたが、最前列は若者を中心にNGOがかけ声をかけながら歩いており、非常に平和でした。
暴動や逮捕者が1000人も出たということは、帰ってからテレビで知りました。
COPの会場内ではデモ以外にも、多くの注目を集めるパフォーマンスに化石賞があります。
“Fossil of the day”(本日の化石賞)というこの賞は、会議進行を最も妨害した国に贈られる不名誉な賞で、毎日夕方に企画しているAVAAZという国際NGOのブース前で受賞式が行われます。
<写真:化石賞の受賞台>
毎日、受賞式が始まる30分前くらいから、多くのマスコミ関係者や見物人が集まるなど大変な注目を集めています。
<写真:化石賞の受賞式に集まる人びと>
日本も6日目に(見事に?)1位を、そして10日目にも2位を受賞してしまいました。
そして今回の総合では昨年に引き続き、カナダが1位を受賞しました。
化石賞について詳しく知りたい方はコチラのサイトをご覧下さい→ http://www.fossiloftheday.com/
他に印象に残ったものをいくつかご紹介します。
<写真:あなたはどっちを選ぶ?温暖化した地球か、そうでない地球か。>
会場内の通路にゲートをふたつ作り、通行人に「温暖化した地球に住みたい」か「クリーンな地球に住みたい」かを選ぶようにしている様子。政府関係者も笑いながらグリーンのゲートを通過し、ハイタッチしていました。
<写真:日本政府代表団に対して気候基金の設立を訴える宇宙人>
他にも環境負荷の小さいVegetarianism(菜食主義)やVeganism(ヴィーガン)を広めるために、無料でサンドイッチを配る団体もありました。
そういえば、前回のVol.3でCOP15開催に伴う排出量について触れましたが、調べたところ主催者側である国連は、参加者各自に呼びかけているもののカーボンオフセットをしていないようです。
ただし、今回のホストであるデンマーク政府はこの会場で使用される電力に風力発電を取り入れていることを謳っています。(参照:http://en.cop15.dk/frontpage)
次回は、閉幕したCOP15の会議の内容について簡単にまとめたいと思います。
Vol.4 に続く