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二国間オフセット・クレジット制度が必要とされる背景
現行のCDM(クリーン開発メカニズム)の問題点として、国連の中央集権的な統一管理による審査の長期化が挙げられます。準備から登録まで2年以上が必要とされ、その間に刻々と動く世界の政治や経済、プロジェクト実施地の状況変化の対応に追いつくことは非常に困難であるとされます。また、案件実施国の国別シェアの偏りや高効率石炭火力(超々臨界圧など)が石炭利用50%超の国に限定され、CO2の地中貯留(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)などが対象外など、プロジェクトの偏りも指摘されています。
二国間オフセット・クレジット制度とは
日本国では、二国間の契約において海外の相手国に対し、温室効果ガス削減技術・製品・システム・サービス・インフラ等の普及や対策を導入し、排出削減を行った場合、その排出削減量を評価、目標充当を可能とする二国間オフセット・クレジット制度(BOCM:The Bilateral Offset Credit Mechanism)の検討やパイロットプロジェクト事業の推進が行われています。
※「クレジット」とありますが、2012年9月現在、外務省、経産省、環境省からは排出量取引に関しては検討段階で明文化されてはおりません。
※参入企業へのインセンティブは、技術移転の時点で貸与されることが検討されています。
また、方法論については、簡便性と利活用の視点から、チェックリストによる制度適格性判断やフローチャートによるプロジェクトの最適な算定方法が決定づけられるなどの検討が進められています。
日本国の動き
日本国では気候変動問題や、問題解決に係わる経済発展や各国間の摩擦解消に向けて、地球温暖化問題に関する閣僚委員会を設け、次のような提言を発表しています。
二国間オフセット・クレジット制度は、日本国の制作の重要な柱として、官民一体で進められている取り組みとなります。
世界低炭素成長ビジョン-日本の提言抜粋(平成23年11月29日地球温暖化問題に関する閣僚委員会 了承)
途上国との連携:低炭素技術の普及・促進,新たな市場メカニズムの構築気候変動問題を解決するためには、先進国の低炭素技術・製品を速やかに普及させる仕組みを官民一体で構築し、今後、経済発展に伴い温室効果ガスの排出増が見込まれる途上国において、排出削減と経済成長を両立させる低炭素成長を実現することが重要である。この一環として、我が国としては、これまで重要な役割を果たしてきた京都議定書におけるクリーン開発メカニズム(CDM)のさらなる改善を目指すほか、新たな市場メカニズムの具体化に向け、二国間協力(二国間オフセット・クレジット制度)や地域協力をさらに推進していく。
我が国は、二国間オフセット・クレジット制度の設計と実施に向けた知見・経験の共有のためにこれまで28 か国との間で実現可能性調査を進めている。また、一部のアジア諸国との間で同制度に関する政府間協議を開始した。同制度の2013 年からの運用 開始を目指し、今後これらの相手国との間でモデル事業の実施、キャパシティ・ビルディング及び共同研究を推進すると共に、他の関心のある諸国との間でも政府間協議を進める。これらの取組を通じ、途上国との幅広い協力関係の構築を目指すとともに、積極的に情報発信を行っていく。
上記を踏まえて、東南アジアを中心とした各国との共同声明が発表されています。
事例
- 日越首脳共同声明
- 日尼(インドネシア)政府間文書
- 日タイ共同声明
- 日印共同声明
- 日メコン地域諸国首脳会議共同声明
各国のFS事業について
現在、Measurement (測定)、Reporting (報告)、Verification (検証)を実施する実証調査・実現可能性調査が東南アジアを中心とした各国で実施されています。
例えば、経産省では2010年から116件が採択、実施されております。
一部事例紹介
- インドネシア プラント操業運転最適化による省エネ技術普及に関する事業調査
- インドネシア EMSを活用した風力発電技術基準普及促進組成調査
- インドネシア 薄膜型太陽電池による大規模太陽光発電所(メガソーラー)導入調査
- インドネシア 泥炭林保全のREDD+と在来種による林業生産及び残材を用いたバイオマス発電※
- バングラディシュ 高効率火力発電の普及
- ベトナム 節水型シャワー普及による水使用量削減
- ベトナム タクシーへのエコドライブ支援・管理システムの導入普及による燃費改善
- タイ 製糖工場におけるバガス利用コジェネレーション
- メキシコ 遠隔モニタリング可能な小規模風力発電
- モンゴル 地域暖房における高効率型熱供給ボイラの更新・新設
- モンゴル 送電網及び石炭火力発電所の高効率化
- ミャンマー 埋立処分場ガス(LFG)回収発電
- ラオス 一般廃棄物の好気性中間処理、及び埋立処分場でのメタンガス処理
- モルドバ 農業残渣バイオマスを利用した化石燃料利用暖房の代替
※REDD:Reducing Emissions from Deforestation and Forest Degra- dation in Developing Countries)の略
※REDD+(プラス):REDDの対象である森林の減少や劣化の抑制に加え、積極的に炭素固定、蓄積を増強する森林保全、森林管理を行うもの。
カーボンフリーコンサルティングの支援内容
カーボンフリーコンサルティングでは、経産省や環境省のFS事業の共同申請や、業務の一部の支援(現地調査、コンソーシアムのマネジメントなど) を実施しております。
強みとするプロジェクト一例
- 家畜排せつ物の管理方法の変更(貯留、乾燥、堆積発酵、焼却、浄化など)によるメタン減少
- 化石燃料からバイオディーゼル燃料への切り替え
- 下水汚泥由来バイオマス固形燃料による化石燃料代替
- 廃棄物由来のバイオガスによる熱および電力供給のための化石燃料代替
- 古紙廃プラ固形燃料(RPF)の製造・利用
- 廃棄物処理施設における熱回収による廃棄物のエネルギー利用
- 廃油等由来の再生燃料油の製造・利用
- REDD+と食糧需給問題解決の両立(詳細はこちら)