Co-benefit

  • 2008年06月21日

カーボンフリーコンサルティングが大変お世話になっているIGESのフォーラムでIPCCパチャウリ議長のお話を聞かせていただきました。しかも地元横浜です。
ノーベル平和賞授賞式で報道されたのでお顔をご存知の方も多いと思います。私は環境問題で第一人者の彼のお考えを直接伺いたかったのでとてもいい機会をいただきました。
単に二酸化炭素を減らすことが最優先ではなく、特に発展途上国の方々の生活を考える取り組みを重要視されていました。
フォーラムのキーワードはCo-benefitでした。京都議定書の6%目標とか、2012年に終わる第一約束期間も勿論大切なのですが、最終目的は地球温暖化を防止することです。
パチャウリ議長は一緒にいろいろなことを取り組まれているゴア氏の言葉を引用されていました。次の世代の人々に「前の世代は何をやっていたのだ、と非難などされたくない。懸命に努力してきたのだという姿勢を伝えたい」という言葉が印象的でした。
パチャウリ議長はTERIでのプロジェクトを紹介してくれました。
Lighting a billion lives
世界には電気のない生活をしている人々が大勢います。インドではその数は人口の30%を超えています。人々に明かりを。その明りは太陽光で。
素晴らしいプロジェクトだと思います。
IGES白書は読みごたえがありました。特にREDDやバイオ燃料に関する章は参考になりました。素晴らしい研究をされています。昨日行われた森林総合研究所のフォーラムの議題でもREDDが取り上げられました。残念ながらREDDのシステムを完備するにはまだまだ時間がかかりそうです。
環境=GREENというカラーが定着しています。GREENとは樹木や草をイメージされる方が多いのではないでしょうか?何故新規植林・再植林のCDMが世界で1件しか認められていないのでしょうか?REDDのシステム作りにはまだまだ時間がかかってしまうのでしょうか?技術的な問題が多く存在しています。森林総合研究所のフォーラムもIGES白書でもCDM制度の今後の課題が指摘されています。制度の充実を図るのは大切です。しかしパチャウリ議長が述べられたように我々には時間がありません。目線を今一度確認し、地球温暖化のために有効な手段であれば率先して取り入れる仕組み作りを優先していかなくてはならないのではないでしょうか?そんなことを再確認させられました。

ラジェンドラ・パチャウリ 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長
1981年よりエネルギー資源研究所(TERI)の所長を務める。2002年に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)議長に選出される。IPCCはアル・ゴア前米副大統領とともに2007年ノーベル平和賞を受賞した。気候変動とその政策面に関する様々な国際フォーラムで活躍し、2006年にはフランス大統領よりフランス最高の勲章「レジオン・ドヌール勲章オフィシエ賞」を授与されるとともに、科学・技術分野における活動を賞して2008年にインド大統領より国民に与えられるものとしては第2の勲章を授与された。現在、インド首相府の経済諮問委員会のメンバーも務める。生産工学、経済学博士。

(IGES HPより)