横浜の夜

  • 2007年10月06日


サラリーマン時代には多くの部下を持たせて貰った。皆個性豊かで極めて優秀な奴が多かった。しかし、彼らの多くは「自分が何を目指していけばいいのかわからない」と悩んでいた。俺は相談を受けたときにはいつも「何をやっていいのかわからないような大人になるなよ。世の中は君がやらなくてはいけないことで溢れているんだよ。」と言っていた。夢のない人は論外である。俺は行動に移していない人は認めない。敵とか味方とか、善とか悪とか、俺にはその区別は難し過ぎてできない。しかし、目の前にこれだけのやらねばならない事があるのに口ばかりで何もしない人間にはなりたくないだけだ。 頭の中で思っているだけで行動しないのは善ではない。行動しても効果がなければ善ではない。
仏作って魂入れずという言葉がある。立派な組織を作ったところで中身が無いようであれば意味がない。当社のように温室効果ガスの測定とオフセット植林を、海外を中心に行う会社には、現地について精通している事と、植林についての知識と経験は必要不可欠である。それが無いというのは、食べ物屋でいうのであれば、海老を切らしたてんぷらや、ワインのないフレンチ、トマトのないイタリアン。。。いやいや、酒を置いていない居酒屋、握りがない寿司屋ぐらいありえないのである。
当社には優秀で信頼できる最強のパートナーが絶対必要であった。素人集団が、闇雲に苗木を植えたところで、その地質、風向き、水脈等の知識なくしえまともに育て上げることなどほとんど不可能なのである。不毛の大地に植林を行うというのは、現場で辛酸をとことん味わったプロ中のプロしか出来ない高等技術なのである。俺が白羽の矢を立てた男は内モンゴルの砂漠にいた。彼の噂を小耳に挟み、彼の所在を調べ、半ば強引に彼の都合を聞き出し、北京空港で会った。俺は彼に会うためだけに北京に行った。俺に足りない、経験と実績が彼にはある。彼に足りなくて俺が補えるものもきっとあるはずだ。共通するのは熱い思い。初対面であった。互いに自分の事を話し互いにやれることがたくさんあることがわかった。数時間具体的に話し合いその場でパートナーシップを締結した。すばらしい出会いであった。
彼の承諾を得ていないので名前は伏せるが、彼はその地で14年も活動し現在でも年の半分以上は現地で踏ん張っている。中国語で世界屈指のタフネゴシーエーター民族と渡り合う。そして、植木屋というバックグラウンドを活かして、抜群の不枯率を誇る。
久々に帰国した彼と桜木町の居酒屋で飲んだ。クロスゲート4Fにある湘南ゆるり。
モダンなつくりではあるが、うまい酒と、新鮮な魚を食べさせてくれる。
彼の近況や今後の抱負を聞き、またしても彼とパートナーシップを組めた幸運に感謝した。