気仙沼

  • 2011年04月03日

深夜徘徊していたご老人に蹴飛ばされて目が覚めた。
明かりがないので蛍光塗料付きの腕時計で時間を確認する。
午前四時。まだ一時間しか寝ていないがもう寝れないだろう。
避難所はろうそくの灯りしかないから暗くてよく見えない。
今回の依頼は断るべきだった。
そもそも私はプロとしか仕事をしない。
民間による運営の最大の利点はスピードである。
少人数で運営するには各持ち場のプロを全面的に信頼できなければならない。
支援物資確保
搬出ルート岐路ルート確保
運搬
搬出搬入人員
現場での自治体、自衛隊、避難所との連携
ファンドレイズ
情報収集
人道支援は自らの安全確保を行わなくてはならない。情報が全く貰えない中での気仙沼にある特別養護施設の避難所への救援物資の直接配送が依頼内容だ。何故引き受ける人がいないのかきちんとした説明を貰えない中での決行を決めたのが仇になった。
全ての責任は私にある。
丘の上の避難所を除き全ての建物が津波により大破し、辿り着けるルートを見つけることが難航した。
大人数を賄う為に四tトラック二台、二tトラック二台を手配していたがその第一便に乗車していた。
後続は翌朝到着にしておいたから情報を送ることができた。
ようやくみつけたルートだが道路の両側が陥没していて、車幅ギリギリしか通れる余地がない。
トラックがひっくりかえってしまったらドライバーのご家族になんとお詫びをすればようのだろうか?責任の取りようがないので目前ではあるが断念を決めようとした。実は今回の運転を引き受けてくださった方はお客様であり、先輩でもあるグローバルテクノスの梅沢社長である。代々運送業を営んできた屈指のプロである。
路面状況とルート確認を念入りに実施したあとの彼の決断は決行である。逡巡した後、彼の言葉に従った。プロの意見に従う事が最善だと判断したが、すぐそこに物資を待っているひとびとがいる事が判断に影響していたのは否定できない。また大勢の従業員を抱える会社の社長を巻き込む訳にはいかないが、梅沢社長の経験にお任せした。
無事に通り抜けられて深夜の避難所に到着できた。
喜び半分と共に猛烈な反省の念に襲われた。
今回の依頼者に情報収集不足について抗議するとともに自らの行動を顧みている。
プロのドライビングに助けられたが、そもそも窮地は回避できたはずである。段取りが八割と言われる中で今回は明らかに段取り不足であった。
そもそも経験不足のNPOからの依頼を引き受けてよかったのだろうか?そこに情が入り込み、急ぎすぎたのではないか?
美談も武勇伝もいらない。そんなものを求めている時ではないだろう。
現場に何度もきていると変化に気がつく。
震災から三週間もすると支援者も変わってきているようだ。
物資を運んでいる記念写真ばかりとっている大学生。
ほら見てご覧僕らは被災地にきているんだよという輩。
サンダルに素手で手伝いにきましたと言われても邪魔なだけである。
最近増えてきている。
人道支援には教育が求められているのでしょう。
何か手伝いたいと考えてくれる事は尊い想いだろう。
しかし遣り方は考えて欲しい。何のためにやるのか考えて欲しい。
自分の為ではないだろう。
まだまだ現場には人も物資も足りない。
明日は陸前高田市に物資をお届けする。
今日の反省を活かすように前に進むしかないだろう。
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