TCFDとScope3とプライム市場

  • 2021年12月02日

上場企業の新市場区分の選択申請は、本年12月までに行うことになります。

すなわち今月です。

一部の項目が開示されない場合には、CG報告書においてその旨を「説明」することが想定されます。

TCFDに基づく開示の質と量の充実について、各社の判断に基づき、「遵守されるか」「実施されていない場合にはその理由の説明」が求められます。

これが原理原則です。

TCFDはScope3までの二酸化炭素排出量算定値に基づき、気候リスク、ガバナンス、対応などを行うものです。

Scope1,2のみでこの原理原則には則っていないわけです。

Scope1,2は「する必要がある(shall)」スコープ 3 は「すべきである(should)」です。

膨大な商品を扱っている一部上場企業の商社さんなどの算定を行っていますが、Scope3のカテゴリー全ての算出ができないことはあり得ません。

理屈にかなっていません。

Scope3のごく一部のカテゴリーについては、算定がなんらかの理由でできない場合であれば、その理由を明示すれば良いです。

しかし、Scope3を全く算出しないのは何故でしょうか?

会社の規模が大きすぎて算定はできない。

商材の数が多すぎて算定はできない。

それぞれ理由はあるでしょう。

大変なことは知っています。

しかしできない理由はないと考えています。

ちなみにScope1,2であっても、子会社、関連会社、実質的な支配力がある会社の排出量は合算しなくてはなりません。

つまり、正確に言えば、本社だけで、それ以外の連結対象を除いて算定したのであれば、Scope1,2ですらないのです。

それでTCFDに則っていると誰が言いましたか?

どうせ、東証はチェックしないだろう。

投資家もそこまで追求しないだろう。

と解釈されるならばそれはそれ。

オウンリスクであればよいと思います。

経営者はそのリスクを正確に把握されていますか?

ご担当者は会社にown riskを負わせていることを経営陣に正確にお伝えしていますか?

拡大解釈はお勧めしません。

あくまでも、質と量の充実について「遵守されるか」「実施されていない場合にはその理由の説明」が求められるものなのです。