創業10年 既得権益との戦い
- 2017年08月21日
設立して10年が経つ。日本で起業することは容易ではないと感じる。
株式会社として登記されて10年になる。振り返れば失ったことが沢山ある。
しかし、掛け替えのない経験を得た。
唯一の後悔はもっと早く起業していればよかったということだけだ。
それにしても日本は起業家に厳しい国だと改めて感じる。
それは2つの点においてである。
1つ目は参入障壁である。
新規参入するのだから、今までの経験はない。
公募案件の多くが、総合評価であり、過去の実績が評価点である。
ならば、新規に参入することはいつまでたってもできないではないか?
どうやれば良いのかと聞いたことは何度もある。
その度に、「大手のチームに混ぜてもらって下積みを経てから頭で応募すれば良い」と言われた。ふざけた話である。
結局大手企業に認められなければいつまでたっても前には進めないのである。
横並び社会だから、どこも似た様なものである。
大手に与するつもりがないのであればいつまでたっても仕事は来ない。
大手が見向きもしない様な割に合わない様な、儲からなくて、遠くて、
汚い仕事でも引き受けて行って初めて実績になった。
最初の数年は悩み苦しんだ。
選ぶ方の立場になってみれば、どこの馬の骨ともわからない会社を選ぶのは
リスクがあるというものだろう。
その気持ちはわからなくもないが、度がすぎるのもいかがなものだろうか?
特に大手企業には、委託者からの転職者が勤めていたりする。
採択に影響がないような部署であれば構わないのだろうが、
そうでないことも10年もやっていれば目の当たりにした。
だから私は天下りは反対である。それは中央省庁だけでなく、
市役所や独立行政法人も含む。
職業選択の自由ではなく、評価に影響がある関係は全てダメだと考える。
転職しても、評価に関係ない部署ならば良いだろうが、それが明確でなければならない。
毎年10万社近くが起業されている。
5年生き残る会社が15%、10年生き残る会社が5%程度と言われている。
20年では0.5%。殆どなくなっているではないか。
これは実に過酷なデータである。
2つ目は資金についてである。
一昨年財務省の政務官と会食した時に言われたのは、
「社長の個人保証は必要なくなりますよ。ちょっと金利は上がりますが、
個人保証無しで融資が可能な制度ができています」ということだった。
しかし、現場はどうだろうか?
大手銀行がベンチャーに融資をすることはない。
制度そのものも知らない状態である。
あっても制度融資だ。
制度融資は上限が低いし、保証協会がつくのであるから、
銀行は何らリスクを負っていない。
これであれば、どこの銀行から借りても一緒である。
ならばVCか?エクイティではなく、デットが欲しいのだ。
金を借りたいのであって、出資が欲しいわけではない会社は沢山ある。
流行りのクラウドファンディングか?クラウドファンディングは
嫌いな人も多いし、事業内容によっては不向きである。
社長が個人保証するわけだから、会社の倒産は、個人の破産ある。
これではどうやって再起すれば良いのだろうか?
銀行の立場になってみれば、これほど倒産率の高いベンチャーに融資をすれば
焦げ付くということなのだろう。
10年経つと色々な実績ができる。
実績ができるとさらに案件は増える。
しかし、自分が苦労してきたから、新規参入者とはがっぷり四つに組んで、
内容勝負、実力勝負でいたいと思う。
まあ、それを決めるのは私ではないのだが。
色々な団体の役員を務めるようになってきた。
少なくとも既得権益に溺れぬように、間口は広く開放していくことを
心掛けているのだ。