ベーシックインカム再考

  • 2017年10月31日

選挙のたびに話題になるベーシックインカム。

自分の理解を整理する意味でも幾つかの書籍を読んでみました。

 

ベーシックインカムは貧困問題を解決する一つの手段にはなりえるでしょう。

しかし実現することは困難だと言わざるを得ません。

ベーシックインカムは平たくいうと、社会保障制度を廃止するということです。

 

BIの導入によって次のことが起こると考えられます。

*社会保障制度を維持してきた行政関係者の多くが職を失う。

*システムの変更、一時退職金などの一時的支出が増える。

*税収増はできるか不明だし、できたとしても効果がでるのは何年も掛かる。

*原資が足りない。

*高所得者へ支払うことの意義が不明。

*得られるものとの対価が見合わない。

 

現時点において国家レベルでベーシックインカムを導入している国は存在しません。

一部アラスカ、フィンランド、ブラジルでの一部導入や試験が挙げられますが、実現には程遠いのが現状です。

立法府がほぼ同時にこれらを達成することはできないと考えられます。

 

社会保障費に回す分を廃止するだけでなく、公共事業関係費、中小企業対策費、農林水産省予算、地方交付税も大幅に削減することになります。

これでできることは、二十歳以上に月7万円、二十歳未満に月3万円を支払うだけです。

この実現に100兆の原資が必要になるからです。

ちなみに月8万円のBIの導入のためには所得税は50%にする必要があると言われています。

 

貧困層をなくすための原資は3兆円と言われています。

消費税1パーセント相当です。

ならば消費税の使途を絞った上で1パーセント増税した方がよほど効率的でしょう。

社会保障は民間に丸投げという前提でのベーシックインカムの導入は無責任というものです。