湘南の海
- 2020年12月09日
冬の海に漕ぎ出す
海水は気温よりも暖かい
澄んだ海
金は必要ない
コロナにも罹らない
何もないといえば何もない
でも極上である
体からワルイモノが海に溶け出してくる気がする
溶け出す
溶け出す
あまり体にも心にもワルイモノは溜め込まない方が良い


冬の海に漕ぎ出す
海水は気温よりも暖かい
澄んだ海
金は必要ない
コロナにも罹らない
何もないといえば何もない
でも極上である
体からワルイモノが海に溶け出してくる気がする
溶け出す
溶け出す
あまり体にも心にもワルイモノは溜め込まない方が良い
中学2年生の夏だった。
父から呼び出され、小遣いを渡された。
この金で一人旅をしてこい。
とのことだった。
果たしてどこに行けば良いのだろうか?
14歳のオイラは、電車に乗って南に向かった
初めての寝台列車
夜に東京を出発した電車は
明け方に瀬戸内海を通過した。
辿り着いた先は長崎だった
何故この街を選んだのかは記憶にない
しかもちょうど精霊流しの時期だった
1982年7月23日の夕方にこの街を襲った集中豪雨により
眼鏡橋が決壊した
壊れた橋を見たことを覚えている
あの時何故父が一人で旅をさせたのかはわからない。
今の時代では許されないのかもしれない。
今思えば、夏休みを一緒に遊んでやれない贖罪だったのかもしれない。
理由は何でも良い。
父には感謝している。
もうすぐ父の命日である。
宴の後
岸辺に沿ってバス停を探す。
早朝
見当たらない
偶然通りかかった車にバス停の場所を尋ねた
遠いので車に乗って行けと仰る
どこか抗い難いというか、慈愛を感じ
言葉に甘えさせていただいた
いい歳をしてヒッチハイクかと独りごち
老夫婦
坂の上の教会でパイプオルガンを弾いているそうだ
話が進むにつれ
街まで連れて行ってやると仰る
通りすがりの中年男に、親切にしたところで
何の見返りもないだろう
優しさが身に染みた