35年振り

  • 2024年05月18日

今日はとても嬉しい日になりました。

先日投稿した通り、最近私はジャズギターを習い始めました。

そんな流れでジャズギターの先生のお供で、代官山の「リザール」というジャズクラブにこの前連れて行ってもらいました。

このクラブはジャムセッションを中心にしており、来場者は演奏に参加してライブを楽しむことができます。ほとんどの曲はジャズのスタンダードで、テーマ以外は即興演奏なので、人が集まればセッションを楽しむことができます。

先日、店のフライヤーを見ていたところ、今後の出演者の中に見覚えのある名前を見つけました。

もしかしたら、私の知っているK谷くんかもしれません。

彼とはSwing & Jazzというジャズ研究会で一緒に演奏していました。

はい、私は早稲田のジャズ研究会に所属していました。

しかし社会人になってからはサックスを吹くことがなく、それから35年が経ちました。

早々に音楽的才能がないと自覚し、その後のライフスタイルの変化もあって、社会に出てからは音楽活動を辞めてしまいました。

Swing & Jazzは何人かのプロを輩出しています。

彼らの名前をたまに見かけていました。横浜に本社を置いている私ですが、横浜には多くのジャズバーがあります。

そんな店で、Swing & Jazzに所属していた人が演奏することが告知されているのを幾度か見かけたことがありました。その度に何故か心がちくりと痛みました。

音楽を辞めてしまった自分には遠い眩しい世界になってしまったからです。

羨ましいなあ、そう感じていました。自分にももしかして別の人生があったのかもしれない。

そんな気にさせる一瞬です。若い時からJazzプレーヤーに猛烈な憧れがあったのです。

私には眩しすぎました。

大学を卒業してから、私が就職したのは外資系金融でした。

当時の会社は非常に体育会系の文化を持っていました。

特にディーリングルームでは、若手はほとんど椅子に座ることができないほど厳しい環境でした。

怒り狂ったディーラーがモニターを叩き割ることもありました。電話機が宙を待っていました。

先輩の言うことは絶対で、若手には「はい」か「YES」か「ごめんなさい」しか言う選択肢がありませんでした。

パワハラなんて言葉はない時代です。

そのような職場環境だったため、音楽活動を続けることは不可能でした。

20年近く勤めた後、私は起業しました。

起業してからは時間ができるどころか、さらに忙しくなってしまいました。

「社長なら楽でしょう」となんてよく言われますが、それは大きな誤解です。

会社の存続率は、設立から3年で65%、10年で6.3%、20年で0.39%と非常に低く、創業から10年で9割近くの会社が廃業してしまいます。20年でほぼ全ての会社がなくなってしまうのです。

成功している会社ばかりが注目されがちですが、これが厳しい現実です。

創業者は誰もが皆、会社を潰さないように必死で働いていますが、それでも多くが廃業に追い込まれます。

それが現実なのです。私は起業してから18年が経ちますが、時間は全くありませんでした。

しかし、そんな言い訳はさておき、Facebookで名前を検索して、知り合いかもしれないK谷くんに連絡を取り、確認したところ、彼がまさにその人だと分かりました。

彼はプロのミュージシャンとして活躍しています。

当時から非常に上手だった彼ですが、今も演奏を続けていることに驚きを隠せませんでした。

そして今日は「リザール」で彼の演奏を聴きに行きました。

演奏会なので手ぶらでしたが、店につくとどうも様子が変でした。

今日はK谷くんをホストとしたセッションの日でした。

と言うわけで、私も急遽出演することになりました。

「なんでギターやねん!」と言われましたが、楽器も持ってきておりません。

そのため、お店に置いてあるギターを借りました。

ジーンズのポケットには、たまたまピックが入っていました。

ここまできたら出ないわけにはいきません。

馬齢を重ねると、面の皮と腹の皮は厚くなります。

さらにギターをやるので指の皮も厚くなりました。

ジャズギターを始めて一ヶ月経っていませんが、なんとかするしかありません。

はい。てなことで二曲でしたが演奏させていただきました。

終わりました。

無事かどうかはわかりませんが、楽しませていただきました。

貴重な機会を与えていただきありがとうございました。

35年振り。邂逅というには長すぎる歳月です。

しかしこうして再会できるとは、なんて素晴らしいのでしょう。

K谷くんの優しいお人柄は変わらず、皆に愛されているのがわかりました。

再会できたことに涙が溢れました。

こんな歳からギターを始めましたが、一歩踏み出してよかったなと、つくづく感じました。