CSRとCSV
- 2012年10月23日
マイケル・ポーター ハーバード大学経営大学院教授は、CSRに取って代わる新たな概念として、CSV (Creating Shared Value 共有価値の創出)を提唱して数年が経過しました。
ポーターファンはすぐに乗っかりましたが、相変わらずレッドエコノミーの範疇から考え方が抜けていないと解釈しています。バリューチェーンは競争戦略手法の一つとして活用していますが、ファイブフォース分析は全く活用できずにいます。数多くの企業のコンサルティングを行ないましたが、どうしてもファイブフォース分析は使い勝手がよくないのです。私の技量に問題があるのかもしれませんが。
CSRは専門の分野ですので、経営学の第一人者であってもCSVに関してはどうしても違和感を覚えてしまいます。
CSRの価値を「善行、利益の最大化とは別物、フェアトレードで購入する、企業の業績に制限を受ける」等としてCSVは「価値はコストと比較した経済的便益と社会的便益、競争に不可欠、利益の最大化に不可欠、企業の予算全体を再編成する、調達方法を変える事で品質と収穫量を向上させる」としています。
うーん。それはCSRの範疇の話しなのにどうしてこういう考えになってしまうのでしょうか?
企業競争の原理、レッドエコノミーのフレームワークが陥る罠に見事に嵌ってしまっているようです。
CSRの第一人者の教授と話す機会がありましたが全くの同意見でした。
CSRの本質を知れば知る程、現在の一般的なCSR活動がまだまだの段階である事は痛感してしまうでしょう。しかしCSVはCSRの一つであり、コーズマーケティング等と同じで、CSRを積極的に商売に活用しましょうというだけです。CSRという枠組みを小さく考える必要はないと思います。
マイケル・ポーター教授自らが仰っている通り戦略的CSR=CSVならばCSV<CSRという関係なのでしょう。
特にCSRの呪縛から脱却し「社会と共有できる価値」の創出を目指すのがCSVというのはむしろ、CSVの呪縛から脱却してCSRを広い意味でとらえようとした方が良いように思えます。
CSR呪縛からの開放ではなく、CSRは懐の深いものなので、求められているのはむしろCSRの積極的な活用なのでしょう。
先日「肉吸」を戴きました。とても美味しいです。大阪名物らしいですね。
肉うどんのうどん抜き。何ともややこしい。いちいち肉うどんのうどん抜きと言わなくたっていいじゃないか。CSRとCSV。この話を聞いて肉吸いを連想したのはお腹がすいているからなのでしょう。