SCOPE3の開示が実質義務化の流れ

  • 2023年07月16日

ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が新しい基準を設定した。(2023年6月26日公表)ISSBとは、国際会計基準(IFRS)財団が、2021年11月にイギリスで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)にて設立を発表した組織だ。

「International Sustainability Standards Board(国際サステナビリティ基準審議会)」の略称で、環境、社会、ガバナンス(ESG)分野における企業の報告に関する国際基準、「IFRS Sustainability Disclosure Standards(IFRSサステナビリティ開示基準)」を策定するための機関である。ISSBは、国際会計基準を作成する国際会計基準審議会(IASB)と並列関係であり、今後の基準策定に向けて相互に補完し、連携することが期待されている。そのISSBの最初の基準であるIFRS S1号及びIFRS S2号についての詳細が明らかになった。これによると企業のバリューチェーンに由来する排出量であるScope3の報告が、企業の開示要求事項の一部として含まれることになると記されている。

気候関連のリスク及び機会が企業の見通しに与える影響を開示するための共通言語を世界的に初めて形成するものであり、世界中の資本市場におけるサステナビリティ関連開示の新たな時代の幕開けを告げるものである。

新しい基準は次の通りだ。

IFRS S1: 一般目的財務報告の主要な利用者に有用なサステナビリティ関連のリスク及び機会に関する開示のために、全般的要求事項を定めている基準である。投資家による資金提供の意思決定に役立つよう、短期・中期・長期にわたって直面するサステナビリティ全般に関連するリスクと機会について開示する。
IFRS S2: 具体的な気候関連開示を定めており、IFRS S1号とともに用いるように設計されている。リスク管理の開示目的は、「一般目的財務報告の利用者が、気候関連のリスク及び機会を識別、評価及び管理する単一又は複数のプロセスを理解できるようにすること」である。 気候変動に関連するリスクや機会の開示について定めており、ガバナンス・戦略・リスク管理、そしてScope1,2,3を含む指標・目標を開示する。企業のサステナビリティ関連財務情報開示に関する基準であり、企業のバリューチェーンに由来する排出量であるScope3の報告が、企業の開示要求事項の一部として含まれることになった。
つまり、これにより、日本企業もScope3の開示を行うことが求められるようになることが決まったわけだ。