夏の終わり

  • 2025年09月09日

夏の終わりには、いつも独特の切なさが漂いますね。

陽射しはやわらぎ、風はどこか遠い記憶を撫でるように吹き抜けていく。

そのとき、心の奥底に、過ぎ去った日々の面影が静かに蘇ります。

まるで夏の光がゆっくりと溶けていくように、記憶もまた静かに立ち上がり、胸を満たしてゆく。

──時が止まればいい 僕の肩でつぶやく君 見てた

瞳に君を焼き付けた 尽きせぬ想い

明日になればもうここには 僕等はいない──

山下達郎『さよなら夏の日』

時は止まらず、季節は軽やかに過ぎ去っていきます。

だからこそ、その瞬間に宿った想いは、かえって鮮烈に心に刻まれるのかもしれません。

胸の奥にそっと残る熱を、無理に追いかけることはできない。

優しさとすれ違いは、夏の陽炎のように揺らめき、儚く消えていく。

盛りを過ぎれば静かに薄れゆくけれど、残像は消え去らない。

その影は、かすかな香りや風の感触となって、胸にいつまでも留まる。

──いま別れを決めた その唇を

まだ愛せそうな 夏の終わりだった──

CHAGE and ASKA『夏の終わり』

終わりは、儚くも美しい。

だからこそ、人はその瞬間を抱きしめ、記憶として刻むのでしょう。

そして、過ぎ去ったものに背を向けるのではなく、胸に温めながら、また新しい季節へと歩みを進めていく。

夏の空はいつまでも蒼く澄み、夕暮れの風はどこか遠くを想わせる。

儚く消えゆく光のなかで、過ぎ去った日々の余韻が、静かに心を揺さぶる。

暑かった夏も、ようやく終わりますね。

──暑かったけど、長かったよね、夏。

葉山ジェーン