最近さらに3文字略語が増えている。
環境ビジネスに携わっている方も混乱していることだろう。
特に最近注目が集まっているのはCDPとSBTであろう。
CDPはCarbon Disclosure Projectの略である。
企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトのことだ。
2000年に開始され、主要国の時価総額の上位企業に対して、毎年質問表が送付されている。
取組み内容に応じたスコアリングが世界に公表される。
SBTはScience Based Targetの略である。
科学的目標設定とでも訳そうか。
産業革命前からの気温上昇幅を2℃上昇未満に抑える)に整合した排出削減目標のことである。
日本でも取り組みが開始された。
以下環境省のHPより
http://www.env.go.jp/press/104338.html
平成29年6月16日(金)から7月7日(金)に実施した、Science Based Targets(SBT-企業版2℃目標)の策定及びサプライチェーン排出量の算定を行う企業の募集について、結果をお知らせいたします。合同勉強会は全社参加可能とし、個別面談はSBT43社、サプライチェーン排出量算定17社で実施することとしました。
015年12月にCOP21で採択されたパリ協定では、世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を2度未満にすることが盛り込まれています。 このパリ協定の採択を契機に、Science Based Targets (SBT)(科学と整合した目標設定)という、2度目標に整合した意欲的な目標を設定する企業を認定する国際イニシアティブが大きな注目を集めています。平成29年7月20日現在、認定を受けた企業は59社、SBTを策定するとコミットした企業は234社と、国内外の企業が気候変動対策に意欲的に取り組む意思を続々と表明しています。我が国では既に8社が認定を受けており(川崎汽船、キリン、コニカミノルタ、コマツ、Sony、第一三共、富士通、リコー(五十音順))、28社が策定にコミットしております。 また、サプライチェーン全体での排出量(スコープ1,2,3※)の算定は、サプライチェーン上で優先的に削減すべき対象の特定、また、他の事業者との連携による効果的な削減につながるものであり、事業者の取組が進んでいます。算定結果の開示は、CDPの気候変動質問書や日経「環境経営度調査」等の企業調査での評価項目とされるとともに、前述したSBTでは、スコープ3の排出量割合が高い(スコープ1,2,3の合計の40%以上)場合に意欲的かつ算定可能なスコープ3の目標が必要とされております。さらに、世界の主要25ヵ国の財務省や中央銀行等が参加する金融安定理事会が2015年12月に設立した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」では、本年6月に気候関連財務情報開示に関する最終報告書を発表し、企業がサプライチェーン全体での排出量の算定結果とその関連リスクについて、自主的に開示することを提言しています。この提言は、本年7月にハンブルグ(ドイツ)で開催されたG20サミットでも報告されました。 環境省としても、企業が2度目標に整合した意欲的な目標を設定し、サプライチェーン全体で効果的に削減を進めることは、我が国の削減目標の達成、ひいてはパリ協定の達成に効果的と考え、今年度、①SBTの策定と、②サプライチェーン排出量の算定を行う企業を募集することとしました。 つきましては本事業への参加を希望する企業を以下のとおり募集いたします。 なお、本事業に関する事務運営は、環境省から委託を受けた「みずほ情報総研株式会社」(以下「みずほ情報総研」という。)が実施いたします。※スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)。 スコープ2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出。 スコープ3:スコープ1、スコープ2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
いずれにせよ、ここにきて低炭素についての新たな動きが加速してきている。
なにか新しいプロジェクトを始めるときは身の丈程の本を読む。
何故か?
知識と経験の両輪が必要だからだ。
知識は勉強すれば得られることが多い。
しかし、それだけでプロジェクトがうまくいくことはない。
人柄
処理能力
行動力
が必要になる。
しかし、それだけでプロジェクトがうまくいくことはない。
人脈
タイミング
そして最後には運も必要だ。
そう考えている。
クズネッツ曲線は全てに当てはまるものではないと考えている。
環境クズネッツ曲線は規制を早期に取り入れることで調整が入ることを織り込んで成り立つのだと考えている。
それではピケティの格差論については大きな話題になったがどうだろうか?
クズネッツ曲線はもはや存在しないとしている。
OECDのデータをみるまでもなく、N字型曲線を描いている。
つまり所得格差は広がっているのだ。
世界で最も裕福な8人が保有する資産は、世界の人口のうち経済的に恵まれない下から半分にあたる約36億人が保有する資産と、
ほぼ同じだったとする報告書がNGOからあげられた。
桁外れの資産家の富を分配する新たな制度を設けるべきではないだろうか?
資本主義に反するし、大いに反論があるだろう。
N字型曲線を是正する必要があるのであればであるが。

環境の改善には、知識と行動が必要だと何度も書いて来た。
ではどんな知識が必要なのだろうか?
週末勉強した、一例を挙げよう。
グズネッツ曲線 (Kuznets Curve: EKC)を改めて考えてみた。
クズネッツ曲線は、アメリカの経済学者サイモン・クズネッツが提唱した曲線である。
環境ビジネスをやっている人は皆知っている有名な曲線である。
資本主義経済の発展は社会の不平等を広げるが、その差はやがて自然に縮小され不平等が是正されるとする。
X軸に経済発展、Y軸に社会の不平等をとり、中心が高くもりあがった逆U字型の曲線となる。
環境分野に当てはめたのが「環境グズネッツ曲線」である。

Y軸が環境悪化となる。つまり、ある一定の経済発展を遂げていくと環境悪化は鈍化していくと言うものである。
果たしてこの仮説はただしいのだろうか?
これについては幾つもの検証結果がある。そこから学ぶのである。
世界銀行の1992年の分析では、所得増加が環境劣化に直接繋がらないとしている。
低所得国においては所得の増加に伴って大気汚染は悪化するが、
高所得国では所得の増加に伴って大気汚染が改善する傾向が見られた。
つまりこの仮説は正しいことを示している。
しかし大気汚染の項目により差があることも確認された。
二酸化硫黄や浮遊粒子状物質についてはグルネッツ曲線が確認された。(Selden and Song 1994など)
しかし、温室効果ガスについては転換点が非常に高く、
その転換点よりも高い所得の国はごく一部に限られていることがわかった。
この理由は「直接的な健康被害がある汚染物質については早期に規制される」ことに起因される傾向にあることで説明がつく。
温暖化対策というのはこの転換点を低くする活動であるとも言える。
どのような活動が転換点を低くしたのかということについても検証結果が複数ある。
(Farzin and Bond 2006,Muhandiki et al 2005, Welch and Hibiki 2002, Pargal and Wheeler 1996)などである。
彼らの分析によると、「教育水準向上・ガバナンス改善・格差是正により転換点が下がる(左に移動する)ことが
あきらかになった。

選挙のたびに話題になるベーシックインカム。
自分の理解を整理する意味でも幾つかの書籍を読んでみました。
ベーシックインカムは貧困問題を解決する一つの手段にはなりえるでしょう。
しかし実現することは困難だと言わざるを得ません。
ベーシックインカムは平たくいうと、社会保障制度を廃止するということです。
BIの導入によって次のことが起こると考えられます。
*社会保障制度を維持してきた行政関係者の多くが職を失う。
*システムの変更、一時退職金などの一時的支出が増える。
*税収増はできるか不明だし、できたとしても効果がでるのは何年も掛かる。
*原資が足りない。
*高所得者へ支払うことの意義が不明。
*得られるものとの対価が見合わない。
現時点において国家レベルでベーシックインカムを導入している国は存在しません。
一部アラスカ、フィンランド、ブラジルでの一部導入や試験が挙げられますが、実現には程遠いのが現状です。
立法府がほぼ同時にこれらを達成することはできないと考えられます。
社会保障費に回す分を廃止するだけでなく、公共事業関係費、中小企業対策費、農林水産省予算、地方交付税も大幅に削減することになります。
これでできることは、二十歳以上に月7万円、二十歳未満に月3万円を支払うだけです。
この実現に100兆の原資が必要になるからです。
ちなみに月8万円のBIの導入のためには所得税は50%にする必要があると言われています。
貧困層をなくすための原資は3兆円と言われています。
消費税1パーセント相当です。
ならば消費税の使途を絞った上で1パーセント増税した方がよほど効率的でしょう。
社会保障は民間に丸投げという前提でのベーシックインカムの導入は無責任というものです。
なかなかこの酒は現地に行かないと飲めないですね。

SDGsに関しては、どうしても背景や歴史ばかり書かれていて、端的かつ具体的な行動を喚起するような本が少ないですね。
そんな中においては、読み応えありました。

左派の歴史学者のベーシックインカム礼讃は、原資の確保について具体的な根拠のない総花的な事例のみの列挙になっています。
世界一の高齢化社会である日本においてはAIとの共存は可能になる部分もあるでしょうが、世界は人口爆発状態です。
ニクソン時代から議論されているベーシックインカムですが、支援者を全て解雇して、施設も閉鎖して、その分のお金を渡せというのは、さすがに論理の飛躍というものでしょう。

タイでのビジネス展開について新聞に掲載いただきました。
