self-defense

  • 2014年05月11日

軽くジャブを数発打ってから右ストレートを繰り出した。

相手の構えからみて、組技が得意なのだろう。

こちらも一通りはこなしているから、相手の狙っている事は分かる。

大内刈りを狙っているはずだ。

まあ相手の足の動きをみて重心を素早く移せば躱せるだろう。

 

右ストレートを当てた後は、背後に回ってチョークスリーパーで決めてしまおう。

と思った瞬間にパーリングで外されて、更にあっという間に足を掬われた。

大外刈り。

この間合いで踏み込むのか?

と感じる間もなくあっという間にひっくり返されて後頭部を強打した。

そのまま強烈は肘鉄が襲いかかる。

 

なんて夢で目覚める。

嫌な夢だった。

ちょいと鈍った身体を動かすか。

護身術護身術。

 

ワトソン坂より

  • 2014年05月11日

毎日2時間程の散歩が赦されている。

散歩とは言ってもオレが車椅子を押して近所をゆっくりと周回するだけだ。

いつの間にか高層住宅が立ち並んで、今では港が余り見えなくなってしまった公園。ここで海を暫く眺める。

散歩のコースは何処でもいい。しかしオレが担当している患者はいつも同じコースを希望する。

毎日だ。

何を考えているのかは分からない。

担当になってから2ヶ月経った今も、彼女の内面は何も窺い知る事はできないでいる。

オレが所属している病院は、どの街にでも一つはあるような中規模な病院である。古びた建物。ワトソン坂という急で長い坂道をのぼり切ったところにその病院はある。名前の由来は知らない。

いや知らないというよりは諸説があって定かでないのだ。

昔ワトソンという人が坂の上に住んでいたとかいないとか。

今となっては確かめようが無いのだろう。

病院の壁は至る所でペンキが剥げ落ちている。

経営が芳しくないのだろうか?改築の話しは聞いていない。

他の病院と異なるところは、全ての病室の窓には鉄格子が填めてある事ぐらいだ。

まだ病院に勤務して日が浅いので、大人しい患者を割り振られたようだ。

「そろそろ寒くなってきたので帰りますよ」

と、話しかけても視線は海から離そうとはしない。

これも既に日常となった。

続く。。。。。。多分