BOPビジネスの難しさ
- 2015年11月28日
BOPビジネスを手掛けるようになってもう何年にもなります。
最近特に問い合わせも増えています。
しかし、BOPビジネスを理解して、そして成功するのは世界的にも一握りです。
何が難しいのか?
富の共創がフェアにできるか?
多くの壁が立ちはだかります。
ビジネスなので、企業が利潤を追求するのは当然です。
例えば、安かろう悪かろうの安価な製品でいいのか?という問いに関しては、
機能性を追求し、必要な最低限の機能のみ有しているから安く作れる。
現地生産を進めたから安く作れる。ということは可能なのでしょう。
しかし、安く作った製品を販売することで、現地に今まであった製造会社が潰れたらどうなるのか?
安い高いというのは需給で決まるものなので、現地製造会社が不当に利潤をあげていたというロジックは成り立つものではありません。
フェアトレードという言葉がよく出てきますが、法律で決められた賃金を支払っているのであれば、少なくとも違法ではありません。
また、BOPビジネスを展開する企業も、利潤を追求するので、設定価格は、現地と同じで機能を有する製品でぶつけるか、もしくは少々安めの製品を提供するかの選択肢を選ぶことになります。
ならば、BOP層にとっては、どのような裨益があるのでしょうか?
現地にはないものなので、ライバルは存在していない。
だから現地企業には悪影響はない。
価格もBOP層に手が届くため、裨益者が多い。
そんな製品は何があるのでしょうか?
これはかなり絞られてきます。
限られた製品を追うか、もしくは現地企業とwin-winの関係を構築するなどして、対応するしかありません。
BOPビジネスで、三方よしというわけにはすんなりいきません。
それは、自分よし、相手よし、社会よしの社会の部分が100%誰もが納得できる形で進めることが困難であるということを意味します。
それよりもBOP層の裨益者や新規雇用者の数の方が、
圧倒的に現地企業の数よりも多いじゃないか?
そういった声もあるでしょう。
ビジネスの決断をするときには、51%正しければ、アクセルを踏まなくてはならないこともあるでしょう。
しかし忘れてはならないのは、100%誰もが満足する解を得ることは困難であることを理解しながら事業展開しなくてはならないことです。
絶対的な正義を振りかざしたところでそれは虚構である可能性があります。
それではやらないほうがいいのか?
答えはNOでしょう。
事業にどっぷりと浸かってきて身にしみていることがあります。
それはBOPビジネスを行うことの困難さを理解して、
それでも少しでも良い解決策を導き出すことが、
この仕事に求められることだということです。