死者の日
- 2025年11月05日
プエブラの街を歩くと、石畳の上にマリーゴールドの花びらがこぼれていました。
甘く少し切ない香りが、人々の記憶を呼び起こしていくように感じます。
広場では骸骨たちが笑い、カトリーナに扮した人々が音楽に合わせて踊っていました。
子どもたちは砂糖の髑髏を抱いてはしゃぎ、街全体があたたかい光に包まれていました。
ここでは死は悲しみではなく、再会の約束なのだと思いました。
夜になると、大聖堂の壁にプロジェクションマッピングが映し出されました。
光と音が重なり合い、建物全体が呼吸をしているようでした。
亡き人への祈りが、色と光の波となって夜空に溶けていくようでした。
死者の日は、この街だけでなくメキシコ全土で祝われています。
家族が祭壇を飾り、亡き人の好物を並べ、再会を喜ぶ。
死は終わりではなく、生の延長であると語りかけています。
私は、1年のうちに地球を十周近く旅する生活をしてきました。
コロナの前までは、年の半分から三分の二を途上国で過ごす日々を十年以上続けていました。
その後は出張の機会も減り、以前ほどの旅はできなくなりました。
それでも今回の旅では、久しぶりに昔の知人たちにたくさん再会することができました。
日本では、死は静かで遠いものです。
けれどこの国では、死は歌い、踊り、花とともに笑っています。
生と死が自然に溶け合い、どちらも同じ光に包まれています。
ここでは死は恐れるものではなく、生の影としての優しい存在です。
死者の日は亡くなった人のための日であると同時に、
生きている私たちが「生」を思い出す日なのです。
まもなくプエブラでの仕事を終え、旅はメキシコシティへと続きます。
この旅も終盤に差しかかりました。
けれど、光と祈り、そして懐かしい人たちとの再会が、
もう一度「生きる」という時間の意味を静かに教えてくれたように思います。
Es el Día de Muertos en México. La ciudad de Puebla está llena de actividad. Están celebrando el Día de Muertos.








