TNFDが意味するもの

  • 2026年04月05日

ここで登場するのが
TNFD です。

多くの企業はこう思っています。

「CO2の次は生物多様性」

しかしこれは誤解です。

TNFDが見ているのは、

・自然にどれだけ依存しているか
・どれだけ影響を与えているか

です。

つまり、

ビジネスの前提そのものです。

例えばプラスチック。

これは単なる廃棄物ではなく、

「自然へのインパクト」として扱われ始めています。

ここで重要なのは、

・減らしているか
ではなく
・説明できるか

です。

この流れにおいて企業は、

CO2+自然資本の両方を説明する存在になります。

Scope3を避ける企業は、勝てない

  • 2026年04月04日

CO2算定を進めると、

必ず出てくるのがこれです。

「Scope3、やりますか?」

結論から言うと、

やらない選択肢はありません。

なぜなら、

多くの企業にとって排出量の大半は
Scope3(サプライチェーン)だからです。

つまり、

・自社だけ削減しても意味がない
・取引先を含めて管理しないと評価されない

という構造です。

この流れの中で、

CO2算定はすでに

“自社の話”から“サプライチェーンの話”へ変わっています。

そしてここから先が重要です。

この流れはさらに進みます。

次に来るのが、

自然資本です。

CO2算定は“目的”ではない

  • 2026年04月03日

CO2算定を始めようとすると、

多くの企業がこう言います。

「どこまでやればいいのか分からない」

これは正しい反応です。

なぜなら、

CO2算定はゴールではないからです。

本来の目的は、

・どこで排出しているのか
・どこが削減できるのか
・どこが削減できないのか

を明確にすることです。

つまり、

“構造を理解するためのツール”です。

重要なのは、

・削減できる部分
・当面残る部分

を分けることです。

ここを分けずに進めると、

・無理な削減計画
・グリーンウォッシュ

に直結します。

CO2算定とは、

「排出量を出す作業」ではなく、

“戦略を作るための前提条件”です。

生分解性プラスチックは自然界で分解するのか(第3話:リサイクルから外れるリスク)

  • 2026年04月02日

ここまでで、

・分解は条件次第
・ヨーロッパではインフラで成立している

という話をしてきました。

では最後に、

実務で一番重要で、かつ見落とされがちな論点です。

リサイクルとの関係です。

生分解性プラスチックは、

一見すると“環境に優しい代替素材”に見えます。

しかし実際には、

既存のリサイクルシステムの中では

扱いが非常に難しい素材です。

なぜか。

答えはシンプルです。

別ルートで管理する前提の素材だからです。

例えば、

PETボトルのリサイクル。

ここに生分解性プラスチックが混ざると、

・品質が低下する
・強度が落ちる
・製品として使えなくなる

といった問題が起きます。

つまり、

少量の混入でも全体に影響する可能性がある

これが現場のリアルです。

さらに問題なのは、

見た目で区別できないこと。

消費者も、回収現場も、

正確に分別するのは難しい。

結果として、

・リサイクルに混入する
・誤って焼却される
・適切な処理に回らない

といったことが起きます。

ここで構造的な問題が出てきます。

生分解性プラスチックは本来、

・産業用コンポスト
・有機性廃棄物回収

といったルートに乗ることで価値が出ます。

しかし、

そのルートに乗らなければ、

・通常ごみとして処理される
・自然環境に流出する
・リサイクルを乱す

という状態になります。

つまり最悪の場合、

どの循環にもきちんと乗らない素材になる

ということです。

これは非常に重要なポイントです。

ここでよくある誤解があります。

「生分解性だから、多少混ざっても問題ないのでは?」

これは違います。

分解の話と、

リサイクルの話は別です。

リサイクルは、

“材料としての純度”が前提です。

そこに異素材が入ると、

成立しなくなる。

ここにトレードオフがあります。

さらに、

政策の考え方もここを重視しています。

欧州でも、

・リサイクルを優先する
・コンポスタブルは限定用途

という整理がされています。

つまり、

生分解性プラスチックは

「リサイクルの代替」ではありません。

むしろ、

適切に使わないとリサイクルを弱める可能性がある

素材です。

では、どう考えるべきか。

ポイントは3つです。

一つ目。

“どの循環に乗せるのか”を決めること。

リサイクルなのか、堆肥化なのか。

曖昧にしない。

二つ目。

回収とセットで設計すること。

素材だけ変えても意味はない。

回収ルートまで含めて設計する。

三つ目。

用途を限定すること。

・食品と一体で回収されるもの
・分別が難しいもの

こうした領域に絞る。

まとめると、

生分解性プラスチックの本当の論点は、

「分解するかどうか」ではありません。

どの循環に乗るのか

です。

そして、

その循環に乗らなかったとき、

初めてリスクになります。

第3話の結論です。

生分解性プラスチックは、

正しく使えば有効。

しかし、

間違った場所に入ると、

循環全体を崩す可能性がある。

だからこそ必要なのは、

素材ではなく、

システムとしての設計です。

生分解性プラスチックは自然界で分解するのか(第2話:ヨーロッパで使われている理由)

  • 2026年04月01日

「でもヨーロッパでは普通に使われてますよね?」

ここで必ず出てくる疑問です。

確かにヨーロッパでは、

生分解性プラスチックやコンポスタブル素材は使われています。

しかしここで重要なのは、

素材が優れているから普及したわけではない

という点です。

答えはシンプルです。

“インフラがあるから成立している”

です。

ヨーロッパの多くの地域では、

・生ごみ(バイオ廃棄物)の分別回収
・産業用コンポスト施設
・明確な分別ルール

が整備されています。

つまり、

・食品残渣
・コンポスタブル袋
・一部の包装材

これらをまとめて回収し、

高温・高湿度の施設で処理できる

仕組みがある。

ここが前提です。

逆に言えば、

このインフラがなければ成立しません。

欧州委員会も、

コンポスタブルプラスチックは

「適切に回収され、処理される場合に限って有効」

と整理しています。

つまり、

“素材単体で環境問題を解決するものではない”

という公式な立場です。

さらに重要なのが、

用途が限定されていることです。

ヨーロッパでも、

何でもコンポスタブルにしているわけではありません。

むしろ逆で、

・食品と一体で回収されるもの
・分別が難しい小型のもの

など、

リサイクルが難しい用途に限定されています。

例えば、

・生ごみ袋
・ティーバッグ
・食品ラベル

こうしたものです。

ここから分かるのは、

コンポスタブルは

「リサイクルの代替」ではなく

「リサイクルできない領域の補完」

だということです。

さらにもう一つ、

誤解されやすい点があります。

「家庭でも堆肥化できるのでは?」

これも半分正しく、半分違います。

確かに一部の製品は、

家庭用コンポスト対応とされています。

しかし実際には、

・温度が足りない
・分解に時間がかかる
・完全に分解しないケースもある

といった課題があります。

欧州の整理でも、

家庭用コンポストは条件が安定しないため、

慎重な運用が必要とされています。

つまり、

ヨーロッパで起きていることは、

こうです。

「生分解性だから自然に還る」ではなく、

「回収して、適切な施設で処理している」

という話です。

ここを間違えると、

本質を見誤ります。

第2話の結論です。

ヨーロッパで生分解性プラスチックが成立しているのは、

素材の力ではなく、

回収と処理のシステムがあるから

です。

そしてその用途も、

かなり限定されています。

つまり、

これは“魔法の素材の話”ではなく、

社会システムの話です。

新年度、なぜいきなりCO2算定なのか

  • 2026年04月01日

4月。

多くの企業にとっては「新しい期のスタート」です。

しかし2026年以降、この“新年度”はこれまでとは意味が違います。

なぜなら、

CO2排出量の算定が「やるかどうか」ではなく「前提」になるからです。

これまで脱炭素は、

・意識の高い企業が取り組むもの
・広報やCSRの一部

という位置づけでした。

しかし今は違います。

サプライチェーン全体で排出量の開示が求められ、
「排出量を把握していない企業」は、

・取引から外れる
・資金調達で不利になる

という現実が始まっています。

実際、企業の脱炭素対応は
単なる環境対応ではなく、

「取引条件そのもの」になり始めています。

つまり新年度にやるべきことはシンプルです。

まず、測ること。

削減はその後です。