「踊り場」に来ただけで、階段は終わっていない

  • 2026年05月27日

最近、環境分野のニュースが少し騒がしい。

住友商事やENEOSが参画したマレーシアの水素事業が休止。
そして、EV充電事業を手掛けていたミライズエネチェンジが民事再生。

こういうニュースが出ると、
「やっぱり脱炭素は無理だった」
「EVは終わり」
「水素なんて夢物語」
という声が、一気に増える。

しかし、少し冷静に考えたほうがよい。

たとえば20年前、
太陽光発電は「高すぎる」と笑われていた。
風力も「不安定で使い物にならない」と言われていた。

だが今、
世界中のエネルギー投資の中心は再エネである。

環境事業というのは、
一直線に伸びる産業ではない。

必ず、
過熱期があり、
失敗があり、
資金ショートがあり、
技術の淘汰がある。

つまり今は、
「終わり」ではなく、
産業が現実化する過程で訪れる
“踊り場”なのだと思う。

EVも、水素も、
期待が先行しすぎた面はある。

だが、
世界の人口は増え、
電力需要も増え、
化石燃料依存のリスクも増している。

この構造問題は、
ニュース一本で消えるものではない。

むしろ、
本当に強い企業だけが残る段階に入った、
という見方のほうが自然である。

環境事業は、
夢だけでは続かない。

だが、
必要性だけは、
消えないのである

ジューンベリー

  • 2026年05月26日

この時期にたくさん実がなります。

それでも、環境事業は続いていく

  • 2026年05月25日

環境分野にいると、
時々、
気持ちが沈むニュースが続く。

大型案件の停止。
補助金頼みの崩壊。
スタートアップの撤退。

だが、
少し長い目で見ると、
実は産業は前進している。

昔、
「再生可能エネルギーなんて無理」
と言われていた時代があった。

だが今、
巨大企業が再エネ電力を奪い合っている。

カーボンクレジットも、
昔は一部の専門家しか知らなかった。

しかし今は、
経営会議で普通に議題になる。

つまり、
社会の前提そのものが、
少しずつ変わっている。

環境事業は、
派手なブームの時ほど危うい。

本当に大事なのは、
地味でも、
現場で、
継続できる技術である。

そしておそらく、
最後に残るのは、
「理想を語れる人」ではなく、
泥だらけになって、
設備を動かし続ける人たちなのだと思う。

脱炭素は、
流行ではない。

インフラ更新である。

だから遅い。
だから失敗も多い。
だが、
社会そのものが変わる時は、
だいたいそういうものなのである。

環境事業は、「正義」だけでは続かない

  • 2026年05月24日

環境事業に関わる人ほど、
時々これを忘れてしまう。

「良いことだから成功する」
わけではない。

むしろ逆である。

良いことでも、
赤字なら止まる。

現実は厳しい。

だが、
これは悲観する話ではない。

産業というのは、
結局、
継続できる仕組みを作った者が勝つ。

だから
単なる理想論より、
「どう利益を出すか」
が重要になる。

たとえば、

廃棄物を燃料化する。
排熱を利用する。
汚泥を資源化する。
地域電力と組み合わせる。
カーボンクレジットを活用する。

環境対策単独ではなく、
“事業として回る形”
を作る必要がある。

実際、
世界を見ると、
環境規制は弱まっていない。

むしろ、
サプライチェーン全体で、
GHG排出量の開示要求は強まっている。

つまり企業は、
「やる・やらない」
ではなく、
「どうやって採算を取るか」
の段階に入っている。

ここを乗り越えた企業は、
かなり強い。

逆に言えば、
今は淘汰の時代なのである。

水素の未来

  • 2026年05月23日

水素という言葉には、
どうしても未来感がある。

だが現実には、
水素事業はかなり苦戦している。

理由は単純で、
まだ高いのである。

作るのも高い。
運ぶのも高い。
保存も高い。

しかも、
水素は軽すぎる。

つまり、
扱いが難しい。

液化すればエネルギーが必要。
圧縮しても設備が必要。
パイプラインも簡単ではない。

技術が存在しても、
「商売として成立するか」
は別問題なのだ。

ここが非常に重要である。

環境事業は、
理想だけでは回らない。

結局は、
経済合理性が必要になる。

だから今、
世界中で起きているのは、
「水素の否定」ではない。

“用途の選別”
である。

たとえば乗用車は、
EVが優勢かもしれない。

しかし、
製鉄。
化学。
船舶。
大型発電。
航空燃料。

このあたりは、
むしろ水素系燃料が有力視されている。

つまり、
全部を水素にするのではなく、
「水素でしか難しい分野」に
集中し始めているのである。

これは、
むしろ産業が成熟し始めた証拠かもしれない。

ブームが終わると、
本当に必要な用途だけが残る。

そして、
そこから本物の産業になる。

EVの苦戦

  • 2026年05月22日

EVが苦戦している。

最近は、
「やっぱりハイブリッドだ」
という論調も強い。

確かに、
現実問題として、
EVにはまだ課題が多い。

充電時間。
航続距離。
寒冷地性能。
中古価格。
そして、
充電インフラの採算。

特にインフラ事業は厳しい。

充電器は、
設置した瞬間から固定費が発生する。
しかし、
利用者が増えなければ、
売上は立たない。

つまり、
「先に作らないと普及しない」
のに、
「普及しないと儲からない」。

これは非常に苦しい構造である。

鉄道黎明期の駅前も、
高速道路初期のサービスエリアも、
実は似たような問題を抱えていた。

今のEV業界は、
まだその段階なのだと思う。

しかも、
日本は特殊である。

日本には、
世界最強クラスのハイブリッド技術がある。

だから、
海外ほど一気にEVへ振れにくい。

これは悪いことではない。
むしろ現実的である。

ただし、
だからと言って、
電動化が消えるわけではない。

物流車両。
都市交通。
社用車。
小型モビリティ。
フォークリフト。

静かに、
確実に、
電動化は進んでいる。

環境技術というのは、
ある日突然、
世界が全部変わるわけではない。

じわじわ進み、
気が付くと、
後戻りできなくなっている。

そういう種類の変化なのである。

雨の日

  • 2026年05月21日

雨の日は、
少しだけ街の音が変わります。

車の音も、
人の足音も、
いつもよりやわらかく聞こえます。

窓の外を見ていると、
水というものは不思議だなと思います。

空から降ってくる。
地面にしみこむ。
川に流れる。
海へ向かう。
そしてまた、どこかで空へ戻っていく。

とても当たり前のことなのに、
その循環の中で、私たちは暮らしています。

環境の仕事をしていると、
水のことを考える場面がよくあります。

きれいな水を守ること。
汚れた水をきちんと処理すること。
限られた資源として、大切に使うこと。

言葉にすると少し堅くなりますが、
雨の日に窓の外を眺めていると、
それはもっと身近なことに感じられます。

傘をさして歩く人。
濡れた道路に映る信号。
軒先で雨宿りをする人。

その全部が、
水のある風景です。

雨は、少し面倒です。

でも、雨が降らなければ、
育たないものがあります。

見えないところで、
静かに満たされていくものがあります。

環境の仕事も、
少し似ているのかもしれません。

すぐに成果が見えることばかりではありません。

けれど、
今日の雨のように、
どこかで静かに、
次の芽を育てている。

そう思うと、
雨の日も少し悪くありません。