CDPとは?企業の環境評価の仕組み

  • 2026年03月13日

企業の環境情報開示を評価する国際的な仕組みとして広く知られているのが、CDP (Carbon Disclosure Project)です。

CDPは、企業に対して気候変動、水、森林などに関する質問書を送り、その回答を評価します。

主な評価分野

  • 気候変動
  • 水資源
  • 森林

スコア

  • A
  • A-
  • B
  • C
  • D

評価は投資家や取引先にも公開されるため、企業のESG評価に大きな影響を与えます。


CDP回答には

  • 排出量算定
  • リスク分析
  • 削減目標

などが求められます。

企業にとっては、環境経営を進める重要なツールとなっています。

中小企業版SBTとは?申請方法とメリット

  • 2026年03月12日

近年、脱炭素経営に取り組む中小企業が増えています。その際に注目されているのが「中小企業版SBT」です。

SBTとは、企業の温室効果ガス削減目標を科学的根拠に基づいて設定する仕組みで、Science Based Targets initiativeが認定しています。

中小企業向けには、簡略化された制度が用意されています。

特徴

  • 簡易な申請
  • Scope3算定不要
  • 短期間で取得可能

メリット

  1. 脱炭素経営の信頼性向上
  2. 取引先からの評価向上
  3. ESG投資対応

大企業からの要請により、サプライチェーン全体での脱炭素が求められる時代になっています。中小企業版SBTは、その第一歩として有効な制度です。

東日本大震災から、16年

  • 2026年03月11日

被災された方々に、改めて心よりお見舞い申し上げます。
そして、今なお復興の途中にある方々にも、心よりお見舞い申し上げます。

震災の翌日から、私は福島県に現地入りしていました。
そのため、2011年3月12日15時36分頃、福島第一原子力発電所で発生した水素爆発の際には、すぐ近くにいました。

空に立ち上るキノコ雲を眺めながら、
「これはもう駄目かもしれない」
そう思い、死を覚悟した瞬間のことを、今でも鮮明に覚えています。

その後すぐに放射線チェックを受けました。
身体だけでなく、身につけていたものや荷物のすべてを確認されました。
そして、被ばくしていないことが確認されました。

その後も、何度も何度も物資を積み、被災地へピストン輸送を続けていました。

当時の記録はこちらです。
https://carbonfree.co.jp/cp-bin/blog/?m=20110312

被災地では、ローカルラジオから同じ曲が何度も流れていました。

負けない事
投げ出さない事
逃げ出さない事
信じ抜く事

駄目になりそうな時
それが一番大事

負けない事
投げ出さない事
逃げ出さない事
信じ抜く事

涙見せてもいいよ
それを忘れなければ

— 「それが大事」
それが大事
(大事MANブラザーズバンド)

良い曲ですね。
闇に吸い込まれそうになる気持ちを、何度も引き戻してくれる曲でした。

(2011年3月18日)

あれから16年。

災害や戦争のない、穏やかな日々。
そんな当たり前の日常が、どれほど大切なものなのかを、改めて思います。

穏やかな日々が、一日も早く訪れることを願ってやみません。

Scope1・Scope2・Scope3とは?GHG排出量算定の基本

  • 2026年03月11日

企業の脱炭素経営において、GHG排出量の算定は基本となる取り組みです。
排出量は一般的に

  • Scope1
  • Scope2
  • Scope3

の3つに分類されます。

この分類は、Greenhouse Gas Protocolによって定義されています。

Scope1

自社が直接排出する温室効果ガスです。

  • ボイラー燃料
  • 自社車両
  • 工場燃料

Scope2

電力などエネルギー購入に伴う間接排出です。

  • 電力
  • 蒸気

Scope3

サプライチェーン全体の排出量です。

  • 原材料調達
  • 輸送
  • 製品使用
  • 廃棄

多くの企業では、Scope3が排出量の大部分を占めるといわれています。


Scope3算定のポイント

  1. サプライチェーンの把握
  2. 活動量データの収集
  3. 排出係数の選定
  4. 算定方法の透明性確保

Scope3算定は、CDP回答やSBT目標設定の基礎となります。企業の脱炭素戦略を進めるためには、まず排出量の正確な把握が不可欠です。

TNFD対応の進め方|企業が今すぐ取り組むべき5ステップ

  • 2026年03月10日

近年、企業のサステナビリティ対応は、気候変動だけでなく自然資本へと拡大しています。その中心にあるのが、Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)です。

TNFDは、生物多様性や水資源、森林などの自然資本に関するリスクと機会を企業が開示するための国際フレームワークです。2023年に最終提言が公表され、多くの企業が対応の検討を始めています。

企業がTNFDに対応する際には、以下の5つのステップが重要になります。

① 事業と自然資本の関係を把握する

まず、自社の事業活動が自然環境にどのような影響を与えているのかを把握します。
例えば

  • 水資源の利用
  • 森林資源の利用
  • 土地利用
  • 生態系への影響

などが対象になります。

② リスクと機会を特定する

次に、自然資本の変化が事業にどのような影響を与えるかを分析します。

例えば

  • 水不足による生産リスク
  • 原材料調達リスク
  • 規制強化
  • 新しい市場機会

などが考えられます。

③ 指標と目標を設定する

自然資本に関する指標を設定し、改善目標を定めます。

例えば

  • 水使用量削減
  • 森林破壊ゼロ
  • 生物多様性保全

などです。

④ ガバナンスを整備する

TNFDでは、取締役会レベルでの監督や経営戦略との統合が求められます。

⑤ 情報開示を行う

最後に、分析結果をサステナビリティレポートや統合報告書で開示します。


TNFDは今後、企業の情報開示の重要な要素になると考えられています。早期に対応を進めることで、自然資本リスクへの備えと企業価値向上につながるでしょう。

TCFDとTNFDの違いとは?ISSB基準との関係

  • 2026年03月09日

企業のサステナビリティ情報開示では、近年 TCFDとTNFDという2つのフレームワークが注目されています。

TCFDは気候変動、TNFDは自然資本を対象とした情報開示の枠組みです。

TCFDは、Task Force on Climate-related Financial Disclosuresが策定した、気候関連財務情報開示の国際的なフレームワークとして広く普及しました。

企業は、気候変動が自社の財務や事業に与える影響について、

ガバナンス

戦略

リスク管理

指標と目標

の4つの柱に沿って開示することが求められてきました。

しかし近年、このTCFDの内容は、International Sustainability Standards Board(ISSB)が策定するサステナビリティ開示基準に統合されています。

ISSBは、IFRS Foundationのもとで設立された国際的な基準設定機関であり、企業のサステナビリティ情報開示の国際基準を策定しています。

現在、気候関連の開示はISSBの

IFRS S1(サステナビリティ開示全般)

IFRS S2(気候関連開示)

という基準の中に位置づけられています。

特にIFRS S2は、TCFDの4つの柱をほぼそのまま引き継いでおり、実務上は

「TCFDの考え方をベースとしたISSB開示」

と理解することができます。

一方、自然資本や生物多様性に関する情報開示を目的として策定されたのが
Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)です。

TNFDは、気候変動だけでなく、

生物多様性

水資源

森林

土地利用

など、企業活動と自然環境の関係を対象としています。

TNFDもTCFDと同様に、

ガバナンス

戦略

リスク管理

指標と目標

という4つの柱で構成されており、企業にとっては既存のTCFD対応の枠組みを活用しながら導入することが可能です。

今後、企業のサステナビリティ情報開示は

気候変動(ISSB/旧TCFD)

自然資本(TNFD)

という2つの領域を統合して進めていくことが重要になると考えられています。

企業にとっては、気候変動だけでなく、生物多様性や自然資源への影響も含めた総合的なリスク管理と情報開示が求められる時代になりつつあります。

TNFDとは?企業が対応すべき実務とステップを解説【企業事例・対象業界】

  • 2026年03月09日

近年、企業の環境対応は
脱炭素(カーボン)だけでなく自然資本(ネイチャー)へと広がっています。

その中心となる国際的な枠組みが
Taskforce on Nature-related Financial Disclosures(TNFD)です。

TNFDは、企業活動が自然環境に与える影響や、自然への依存関係を整理し、
それに伴うリスクと機会を開示するためのフレームワークとして
世界的に注目されています。

2023年に最終提言が公表され、
現在は多くの企業や金融機関が対応を検討しています。

しかし企業担当者からは次のような疑問が多く聞かれます。

  • TNFDとは具体的に何をするのか
  • どこから取り組めばよいのか
  • 他の環境枠組みとの関係はどうなるのか

本記事では、企業実務の視点から
TNFDの概要、実務ステップ、企業事例、対象業界を整理します。


TNFDとは何か

TNFDは、企業と自然との関係を整理し、
そのリスクと機会を開示するための枠組みです。

この考え方は
Task Force on Climate-related Financial Disclosures(TCFD)
と非常によく似ています。

TCFDが気候変動を対象としているのに対し、
TNFDは対象を 自然資本全体へ拡張しています。

対象となる自然資本には例えば次のものがあります。

  • 水資源
  • 森林
  • 土地利用
  • 生物多様性

これらは企業活動のサプライチェーンと密接に関係しており、
事業リスクにも直結する可能性があります。

例えば

  • 原材料調達による森林破壊
  • 水不足による生産リスク
  • 生物多様性への影響による規制強化

などです。

そのため金融機関や投資家は、
企業の自然資本リスクにも注目し始めています。


TNFDと他の環境枠組みの関係

企業の環境対応は、
TNFD単独で進めるものではありません。

実際には次のような枠組みと密接に関係しています。

  • CDP
  • Science Based Targets initiative(SBTi)

CDPでは

  • Climate
  • Water
  • Forest

といったテーマで企業の環境情報が評価されます。

またSBTでは、温室効果ガス削減目標に加えて
**Science Based Targets for Nature(SBTN)**の議論も進んでいます。

このように現在の国際的な流れは

カーボン(気候変動)とネイチャー(自然資本)を統合して管理する方向

へ進んでいます。

そのためTNFD対応では

  • GHG排出量算定
  • サプライチェーン分析
  • 自然資本影響評価
  • 情報開示

を統合的に整理することが重要になります。


TNFD対応の実務ステップ

企業がTNFD対応を進める際には、
一般的に次のようなステップで整理されます。

1 自然資本との関係の把握

企業活動が

  • どの自然資本に依存しているか
  • どの自然資本に影響を与えているか

を整理します。

多くの場合、影響は
サプライチェーン全体に広がっています。


2 リスクと機会の分析

自然資本との関係から生じる
リスクと機会を分析します。

リスク

  • 水不足による生産停止
  • 森林破壊に関する規制
  • 生物多様性リスク

機会

  • 環境配慮型製品
  • 持続可能な調達
  • 新しいビジネス機会

3 データ整理

代表的な環境データ

  • GHG排出量
  • 水使用量
  • 原材料調達
  • 土地利用

これらはCDPやSBTと共通する部分が多く、
統合的に管理することが重要です。


4 目標設定

例えば

  • 排出量削減
  • 持続可能な原材料調達
  • 水使用量削減

などの目標を設定します。


5 情報開示

多くの企業では

  • 統合報告書
  • サステナビリティレポート
  • CDP回答

などの形で開示されます。


TNFD対応を支援できる企業はまだ多くない

TNFDは比較的新しい枠組みであり、
企業実務としての対応方法はまだ発展途上です。

自然資本の評価には

  • サプライチェーン分析
  • GHG排出量算定
  • 環境データ管理
  • 情報開示フレームワーク

など、複数分野の専門知識が必要になります。

そのため TNFD対応を実務として支援できる企業は、現時点ではまだ多くありません。

企業にとっては

  • 脱炭素
  • 自然資本
  • サプライチェーン

を統合的に整理できる専門的な支援が重要になります。


TNFD対応の企業事例

すでに世界ではTNFDに関連する取り組みを進めている企業も増えています。

オランダの金融機関
ING Groupは、
自然資本リスクを金融リスク管理の中に組み込む取り組みを進めています。

また食品企業の
Nestléは、
原材料調達における森林破壊や水資源の影響を評価し、
サプライチェーン全体での自然資本管理を進めています。

日本でも

  • 食品
  • 化学
  • 紙パルプ
  • 金融

などの分野でTNFDへの対応が検討されています。


TNFD対応が必要になる主な業界

TNFDはすべての企業に関係しますが、
特に次の業界では影響が大きいと考えられています。

食品・農業

農産物や水資源への依存が大きいため
自然資本との関係が非常に強い産業です。

化学・素材

原材料調達や製造プロセスにおいて
土地利用や環境影響が大きい場合があります。

紙・パルプ

森林資源との関係が直接的な産業です。

商社

グローバルなサプライチェーンを持つため
森林や鉱物資源などの自然資本リスクが重要になります。

金融機関

投融資先の自然資本リスクを評価する必要があります。


ネイチャー対応は企業戦略の重要テーマへ

これまで企業の環境対応は
主に脱炭素が中心でした。

しかし現在は

  • 気候変動
  • 水資源
  • 森林
  • 生物多様性

などを含めた
総合的な環境戦略が求められています。

TNFDは、企業と自然との関係を整理し、
将来のリスクや機会を把握するための
重要なフレームワークとなりつつあります。

今後、金融機関や投資家による企業評価の中でも
自然資本への対応は重要な要素になると考えられます。

そのためTNFDは、単なる情報開示ではなく
企業の経営戦略の一部として取り組むテーマと言えるでしょう。

https://www.carbonfree.co.jp/pkobo_news/upload/900-0link_file.pdf