仕事だから

  • 2019年05月13日

「仕事だから」といって、全てを仕事のせいにするべきではない。

確かに何かを犠牲にしてきた。誰だってそうだろう。

しかし、「仕事だから」といっても割り切れないこともある。

自分だけの力、会社だけの力だけではどうにもならないこともある。

仕事とは相手がいることなので、相手の状況によって、不可抗力の時もある。


想像もつかなかったようなことが発生することもあるのだ。

何年も仕事をしてきた。

世界各地で仕事をしてきた。

自らの想像が及ばないこともある。

こちらは歩道を歩いていても、突然車が突っ込んでくる時もある。

それを納得できるほど、大人ではない。

未熟と言われればそれまでだ。

小さい会社であっても、社長をやっている。

言わなくてはならないことは言わなくてはならない。

会社の看板を背負うということはそういうものだし、承知しているのだ。

小説家は無所属なのだろう。


経済小説を書いた城山三郎氏は無所属のみにはそれなりの良さがあったと言っている。

自分で作った会社であっても、社会の一員である。

相手がいる仕事である。

とても無所属とは言えまい。

12年社長として勤めてきた。

好きな仕事だ。

だからと言って楽なわけでは決してない。

危険だし、困難な壁ばかりだし、自分の時間もない。

しかし得難い経験ができた。

これは言葉にすることは難しい。

出張も多かった。

社会の表面を撫でるだけのような観光旅行ではない。

汚く危険な人の欲が蠢く世界であった。

そんな中にどっぷりと浸かり、ゼロから作り上げてきた。

それは「仕事だから」という一言で纏めるには余りにも重いのだ。