TNFDへの対応1

  • 2022年11月30日

TNFDは、Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresのことである。日本語だと、自然関連財務情報開示タスクフォース。

TCFDの自然への影響開示を意味する。生物多様性だけではなく、自然環境への影響リスク(と機会)を開示するものである。

東証プライム市場では実質的にTCFDに則った気候リスクの開示が求められるようになった。

さらに、自然関連リスクの開示も企業は求められる時代が間も無く到来する。

企業が社会に与える影響は、温室効果ガスだけではない。

生物多様性を含む自然環境への影響リスクを定量化して開示することが求められるようになる。

評価のプロセスはLEAPに基づく。LEAP アプローチとかLEAP-FIという言葉を聞いた方も多いだろう。

LEAPとは

Locate

Evaluate

Assess

Prepare

のことである。

Locateはまさに地域のことである。資源と地域ごとに優先順位をつけていくものである。単に規模が大きいか小さいかだけではなく、依存・影響が高い工程かどうかが判断材料になる。当然レッドリストなどを活用して、生態系の完全性、重要性を鑑みる。

Evaluateは、まさに依存・影響度を評価するものである。

例えば、地域の水供給や土壌の何%を占めているのか。生態系への負荷を現状分析し、そして将来計画による生態系への負荷を評価するものである。

当然ながら、公害物質や水などの評価が加わる。

温室効果ガスのみならず、環境評価がカーボンフリーコンサルティングの得意分野である。

Accessは、事業リスクや損失回避によって生まれる事業機会の分析である。

これはTCFDと同じ考え方である。物理リスク、移行リスクの他にシステミックリスクが加わる。

システミックリスクとは、元々特定の企業(特に金融機関)や市場が機能不全となったならばそのことの影響が他の企業や市場、システム全体にまで波及する金融危機を起こすリスクを意味する。

TNFDにおけるシステミックリスクとは、特定の企業の私物多様性損失への関与が市場全体に対して物理リスクや移行リスクが波及することを意味している。

Prepareは目標設定・開示だ。

これも企業としての目標と情報を開示することを意味しており考え方はTCFDと同様である。

TNFDは2023年には運用が開始される予定だ。すでに本年3月にはTNFD β版が公開されている。

β版V0.1においては次の3つが柱となっている。

• 市場参加者が自然関連リスクと機会を評価し情報開示する際に用いることを TNFD が推奨する、自然
を理解するための基本的な概念と定義の概要
• 企業や金融機関が自然関連リスクと機会の評価を企業戦略やリスク管理プロセスに組み入れ、報告や
情報開示に関係するものを含めて経営判断や資本配分に関する判断に役立てるためのガイダンス
• 自然関連リスクと機会に対する TNFD の開示提案(草稿版)

さらにβ版Vo.2においては、

• 指標と目標のアーキテクチャの初回草稿と、依存関係と影響の指標に関するガイダンスと一群の指標

• 個別ガイダンスへの推奨アプローチ
• LEAP-FI の更新版

が追加された。