同じ量の雨が降っても、
森に降る雨と、
都市に降る雨では、
水の流れ方が違います。
森林や土の上に降った雨の一部は、地面へ染み込みます。
ところが都市では、
道路。
駐車場。
建物。
コンクリート。
地面が覆われています。
雨は地中へ浸透することができず、一気に側溝や下水道へ流れ込みます。
川が氾濫していなくても、街が浸水することがあります。
いわゆる内水氾濫です。
都市化とは、
便利な街をつくることでもありました。
しかし同時に、
「雨を吸収できない街」
をつくってきたとも言えます。
これからの都市づくりでは、
雨をどう排水するかだけではなく、
雨をどこで受け止めるのか。
そこまで考える必要があります。
最近、大雨のニュースを見ることが増えました。
「記録的な大雨」
「これまでに経験したことのない大雨」
こうした言葉も、以前ほど珍しくなくなりました。
実際、日本では短時間に降る強い雨が増える傾向にあります。
気温が上昇すると、大気中に含むことのできる水蒸気の量も増えます。
そして条件がそろえば、それが一気に雨となって降ってきます。
気候変動というと、
CO₂排出量。
再生可能エネルギー。
省エネルギー。
こうした話が中心になりがちです。
しかし、気候変動によって実際に私たちの生活や企業活動に起こる変化も考えなければなりません。
大雨も、その一つです。
脱炭素は「緩和」。
大雨への備えは「適応」。
これからの環境対策には、その両方が必要になっています。
あと4ヶ月で今年も終わりますね。
あまりにも早いですね。
弊社はもうすぐ設立19周年を迎えます。
20年目に突入します。
今年は上場企業にグループインすることになり、新分野への挑戦も始まっています。
変化の年となりました。
まずは、あと4ヶ月頑張ります。
Removalは、DACだけの話ではありません。
廃棄物・資源循環の世界にも大きく関係します。
例えば廃棄物焼却施設では、プラスチックなどの化石由来炭素と、紙、木材、食品などのバイオマス由来炭素が一緒に燃えています。
ここで発生したCO₂をCCSで回収したとします。
化石由来のCO₂を回収すれば、基本的には排出削減です。
一方、植物が大気中から吸収した炭素に由来するCO₂を回収し、長期・永久貯留できれば、その部分はRemovalとして評価される可能性があります。
同じ焼却施設。
同じCCS。
同じCO₂1トン。
それでも炭素の由来によって意味が変わります。
バイオ炭も同じです。
バイオマスを炭にすれば、すべてRemovalになるわけではありません。
原料は何か。
製造時にどれだけCO₂を出したか。
炭素は何年間残るのか。
追加性はあるか。
MRVはできるか。
こうした条件を見る必要があります。
森林やブルーカーボンについても同様です。
これから大切なのは、
「クレジットを何トン作れるか」
だけではありません。
その1トンは排出削減なのか。
Removalなのか。
どれだけ長く炭素を固定できるのか。
そして、誰がその1トンを必要としているのか。
カーボンクレジット市場は、
「何トンあるか」
から、
「どの1トンなのか」
を考える時代へ入っているように思います。
同じカナダで、少し対照的なニュースがありました。
ドイツのセメント大手Heidelberg Materialsが、アルバータ州エドモントンで計画していた大型CCUSです。
計画では年間最大100万トンのCO₂を回収し、総事業費は約13.6億カナダドル。
非常に大きなプロジェクトです。
三菱重工業もCO₂回収技術で参加し、実証後には米Kiewitとフルスケール設備の基本設計まで進んでいました。
ところが、プロジェクトは保留となりました。
技術が失敗したからではありません。
問題は「採算」です。
CCSには、回収設備だけでなく、CO₂を分離する熱や電力、圧縮、輸送、地下貯留、モニタリングなどの費用がかかります。
一方、企業が得られるのは、
「CO₂を1トン排出しなかったことによる経済価値」
です。
カナダでは以前、2030年に炭素価格を1トン170カナダドルまで引き上げる軌道が示されていました。
しかし現在示されている2030年の水準は115カナダドルです。
つまり、
CCSが安くなったのではありません。
CCSを行うコストに対して、炭素価格の見通しが十分高くなくなったのです。
脱炭素技術は、技術だけでは普及しません。
「CO₂を減らすことに、社会がいくら払うのか」
その制度設計も同じくらい重要なのです。