年間100万トンのCCSが止まった理由

  • 2026年08月28日

同じカナダで、少し対照的なニュースがありました。

ドイツのセメント大手Heidelberg Materialsが、アルバータ州エドモントンで計画していた大型CCUSです。

計画では年間最大100万トンのCO₂を回収し、総事業費は約13.6億カナダドル。

非常に大きなプロジェクトです。

三菱重工業もCO₂回収技術で参加し、実証後には米Kiewitとフルスケール設備の基本設計まで進んでいました。

ところが、プロジェクトは保留となりました。

技術が失敗したからではありません。

問題は「採算」です。

CCSには、回収設備だけでなく、CO₂を分離する熱や電力、圧縮、輸送、地下貯留、モニタリングなどの費用がかかります。

一方、企業が得られるのは、

「CO₂を1トン排出しなかったことによる経済価値」

です。

カナダでは以前、2030年に炭素価格を1トン170カナダドルまで引き上げる軌道が示されていました。

しかし現在示されている2030年の水準は115カナダドルです。

つまり、

CCSが安くなったのではありません。

CCSを行うコストに対して、炭素価格の見通しが十分高くなくなったのです。

脱炭素技術は、技術だけでは普及しません。

「CO₂を減らすことに、社会がいくら払うのか」

その制度設計も同じくらい重要なのです。