再生可能エネルギーにも見えない排出がある
- 2026年10月25日
バイオマス発電は再生可能エネルギーに分類されています。しかし、再生可能エネルギーだからといって、温室効果ガスがまったく排出されないわけではありません。
例えば、海外で発生した農産物の残渣を日本の発電所で利用する場合を考えてみましょう。
現地での収集、乾燥、加工、港までの輸送、船舶による海上輸送、国内での運搬など、多くの工程が必要になります。当然、それぞれの工程でエネルギーが使われます。
発電所だけを見ていては、こうした排出量を十分に把握することができません。
そこで重要になるのが、ライフサイクルGHGという考え方です。原料の調達から最終的な利用に至るまで、関連する温室効果ガスの排出量を評価します。
日本のFIT・FIP制度では、対象となる一定のバイオマス発電事業について、比較対象となる火力発電に対するGHG削減基準が設けられています。2029年度までの対象燃料では50%、2030年度の対象燃料では70%という削減水準が設定されています。
この考え方は、バイオマス発電だけに限ったものではありません。
電気自動車であっても、電池の製造や電力の供給には環境負荷が生じます。再生材を利用した製品であっても、回収や再加工にはエネルギーが必要です。水素についても、製造方法によって温室効果ガスの排出量は大きく異なります。
つまり、環境に良いとされる技術についても、実際の環境負荷を確認する必要があるのです。
ただし、ライフサイクル評価は万能ではありません。何を評価の対象に含めるのか、どのようなデータを使用するのかによって結果は変わります。計算の前提条件を明確にすることが欠かせません。
私は、今後の環境ビジネスでは、環境に良いという言葉だけでは説得力を持たなくなると考えています。
どれほど良いのか。何と比較して良いのか。どこまで調べて良いと判断したのか。
それを数値と根拠で説明できることが、企業の競争力にもつながるでしょう。
再生可能という言葉の安心感に頼らず、見えない排出にまで目を向ける。その積み重ねが、脱炭素社会の実現には必要なのだと思います。








