粋な振る舞い

  • 2019年12月17日

亡父と初めてラウンドしたのは高校生の時だったか。

まず最初にキャディさんに心付けを渡していた。

海外ではラウンド終了後にチップを渡すのは当たり前だが、日本では一般的ではない。

しかもスタートする時に渡す。

父に理由を聞くと、

「最初に渡した方が、1日気持ちよくプレーできるだろ」とのことだった。

そして粋だった。

私の世代には見たことがない振る舞いをしていた。

仕事熱心だったかというとそうでもなかろう。

優秀だったかどうかはわからない。

それでも私を大人になるまで育ててくれた。

幼年期に手をあげられたことはない。

遊びは得意だった。

何でも得意だった。

ゴルフでも、ボーリングでも、卓球でも、なんでも父に勝ったことはない。

父兄参観に学校にたまに来ると、クラスの女子がざわめくほどのいい男だった。

今日は命日である。

早いものだ。

もう2年経つ。

あの時はベトナムで業務していたが、中断して急遽駆けつけた。

看取ることができたことは幸いであった。

息を引き取る最後の一呼吸まで枕元にいることができた。

あれから地球を20周して、父がみたいと言っていたアマゾン川やペルーの遺跡や、アフリカも行ったけど、本当は一緒に訪問したかった。