最近の雨は、
少し極端になったように感じることがあります。
しとしと降る雨ではなく、
一気に降る雨。
短い時間に、
道路が川のようになる雨。
傘をさしていても、
あまり意味がないような雨。
もちろん、
一つひとつの雨をすぐに気候変動と結びつけることはできません。
天気には、もともと大きな揺らぎがあります。
でも、
長い目で見れば、
気温が上がることで大気中に含まれる水蒸気が増え、
強い雨が起こりやすくなるという話は、
環境の分野ではよく語られます。
難しい言葉で言えば、
気候リスクです。
でも、実際にはもっと身近なものです。
通勤できるか。
学校に行けるか。
現場が止まらないか。
商品が届くか。
工場が浸水しないか。
農作物が傷まないか。
雨の強さは、
暮らしと経済にそのままつながっています。
企業にとっても、
気候変動は遠い話ではなくなりました。
排出量を減らすこと。
再生可能エネルギーを使うこと。
省エネを進めること。
それはもちろん重要です。
しかし同時に、
変わりつつある気候にどう備えるか、
という視点も必要になっています。
これを、
緩和と適応と言います。
温室効果ガスを減らすことが緩和。
すでに起きている、あるいは起きつつある変化に備えることが適応。
どちらか一方ではなく、
両方が必要です。
雨の日に、
窓の外を見ながら考えることがあります。
この雨は、どこへ流れていくのか。
この水を、街は受け止められるのか。
この先、同じような雨がもっと増えたら、
私たちの暮らしや仕事はどう変わるのか。
環境の仕事は、
未来を予測する仕事でもあります。
しかし、未来は資料の中だけにあるわけではありません。
強く降る雨。
濡れた道路。
止まった電車。
遅れる物流。
そうした日常の中にも、
未来を考える材料はたくさんあります。
雨の強さは、
私たちに問いかけているのかもしれません。
このままでよいのか。
備えは十分か。
次の世代に、
どんな街を残すのか。
そんなことを考えながら、
今日の雨音を聞いています。
台風が近づくと、
まず天気予報を見ます。
雨はどれくらい降るのか。
風はどれくらい強いのか。
電車は動くのか。
予定は変えるべきか。
多くの人が、
自分の一日を守るために情報を確認します。
しかし、台風の影響を受けるのは、
個人の予定だけではありません。
工場。
物流。
港湾。
倉庫。
店舗。
建設現場。
農地。
社会のいろいろな場所が、
同時に影響を受けます。
ある地域で大雨が降る。
道路が通れなくなる。
部品が届かない。
製品が出荷できない。
店舗に商品が並ばない。
現場の工程が遅れる。
一つの天候の変化が、
離れた場所の仕事にまでつながっていきます。
これが、
気候変動時代のサプライチェーンリスクです。
物理的リスクです。
環境対策というと、
CO₂を減らす話が中心になりがちです。
もちろん、それは重要です。
けれど、企業にとっては、
気候変動によって事業がどう影響を受けるのかを考えることも、
同じくらい大切になっています。
大雨で止まる物流。
猛暑で低下する作業効率。
水不足で制約を受ける生産。
台風で遅れる建設工事。
これらはすべて、
環境問題であり、
同時に経営課題でもあります。
最近は、
TCFDやサステナビリティ開示の中でも、
気候リスクをどう捉えるかが重要になっています。
排出量を計算するだけではなく、
自社の事業がどんな自然条件に支えられているのか。
どこに弱さがあるのか。
どこから影響が広がるのか。
それを見ていく必要があります。
台風は、
サプライチェーンの見えにくいつながりを、
一時的に見えるようにします。
いつも通り届いていたものが届かない。
いつも通り動いていた現場が止まる。
いつも通り開いていた店が閉まる。
そのとき初めて、
私たちは普段の便利さが、
どれだけ多くの条件に支えられているかに気づきます。
環境経営とは、
理想を語ることだけではありません。
現実のリスクを見つめること。
備えること。
変化に強い仕組みをつくること。
そして、
自然の変化を前提に、
事業を続けていく力を高めることです。
台風が来るたびに、
私たちは少し立ち止まります。
その立ち止まる時間の中に、
次の時代の経営を考えるヒントがあるのかもしれません。
雨が降ると、
水はどこかへ流れていきます。
屋根を伝い、
道路を流れ、
側溝に入り、
川へ向かい、
やがて海へ出ていきます。
当たり前のようですが、
よく考えると、とても大きな循環です。
水は、
ただ流れているだけではありません。
土を潤します。
植物を育てます。
川をつくります。
海へ栄養を運びます。
一方で、
流れ方を間違えると、
街を浸水させ、
土砂を崩し、
汚れを海まで運んでしまうこともあります。
環境の仕事では、
水の行方を考えることがとても大切です。
工場で使われた水。
家庭から出る水。
雨水。
農地を流れる水。
都市の道路を流れる水。
それぞれに性質があり、
それぞれに処理や管理の方法があります。
水は透明に見えても、
そこにはいろいろなものが含まれています。
油分。
有機物。
土砂。
化学物質。
プラスチック片。
見えないものほど、
注意深く見なければなりません。
環境対策は、
目に見える煙やごみだけではありません。
見えにくい水の流れを整えることも、
とても大切な仕事です。
雨の日に街を歩くと、
水が低い方へ流れていくのが分かります。
人間が作った道路も、
自然の重力には逆らえません。
水は正直です。
高いところから低いところへ流れます。
隙間があれば入り込みます。
行き場がなければ溜まります。
その姿を見ていると、
環境問題にも似たところがあると思います。
無理に隠しても、
どこかにしわ寄せが出る。
一か所だけきれいにしても、
流れの先で問題が起きる。
だからこそ、
全体を見る必要があります。
上流から下流へ。
工場から地域へ。
企業から社会へ。
今日の活動から未来へ。
水の行方を見ることは、
責任の行方を見ることでもあるのかもしれません。
雨が降る日は、
少し面倒です。
靴は濡れます。
荷物も重く感じます。
でも、雨の日だからこそ、
普段は見えない流れが見えることがあります。
水がどこから来て、
どこへ行くのか。
その先に、
どんな暮らしがあるのか。
環境の仕事は、
そうした見えにくい流れを、
少しずつ見えるようにしていく仕事なのだと思います。
たくさんの誕生日メッセージをいただき、ありがとうございます。
一つひとつ、ありがたく拝見しています。
いただいたご縁や刺激を大切にしながら、少しずつ形にしていきたいと思っています。
また一年、どうぞよろしくお願いいたします。