小豆島のオリーブ
- 2026年05月29日
実に美味しかったです。

最近、環境分野のニュースが少し騒がしい。
住友商事やENEOSが参画したマレーシアの水素事業が休止。
そして、EV充電事業を手掛けていたミライズエネチェンジが民事再生。
こういうニュースが出ると、
「やっぱり脱炭素は無理だった」
「EVは終わり」
「水素なんて夢物語」
という声が、一気に増える。
しかし、少し冷静に考えたほうがよい。
たとえば20年前、
太陽光発電は「高すぎる」と笑われていた。
風力も「不安定で使い物にならない」と言われていた。
だが今、
世界中のエネルギー投資の中心は再エネである。
環境事業というのは、
一直線に伸びる産業ではない。
必ず、
過熱期があり、
失敗があり、
資金ショートがあり、
技術の淘汰がある。
つまり今は、
「終わり」ではなく、
産業が現実化する過程で訪れる
“踊り場”なのだと思う。
EVも、水素も、
期待が先行しすぎた面はある。
だが、
世界の人口は増え、
電力需要も増え、
化石燃料依存のリスクも増している。
この構造問題は、
ニュース一本で消えるものではない。
むしろ、
本当に強い企業だけが残る段階に入った、
という見方のほうが自然である。
環境事業は、
夢だけでは続かない。
だが、
必要性だけは、
消えないのである
環境分野にいると、
時々、
気持ちが沈むニュースが続く。
大型案件の停止。
補助金頼みの崩壊。
スタートアップの撤退。
だが、
少し長い目で見ると、
実は産業は前進している。
昔、
「再生可能エネルギーなんて無理」
と言われていた時代があった。
だが今、
巨大企業が再エネ電力を奪い合っている。
カーボンクレジットも、
昔は一部の専門家しか知らなかった。
しかし今は、
経営会議で普通に議題になる。
つまり、
社会の前提そのものが、
少しずつ変わっている。
環境事業は、
派手なブームの時ほど危うい。
本当に大事なのは、
地味でも、
現場で、
継続できる技術である。
そしておそらく、
最後に残るのは、
「理想を語れる人」ではなく、
泥だらけになって、
設備を動かし続ける人たちなのだと思う。
脱炭素は、
流行ではない。
インフラ更新である。
だから遅い。
だから失敗も多い。
だが、
社会そのものが変わる時は、
だいたいそういうものなのである。
環境事業に関わる人ほど、
時々これを忘れてしまう。
「良いことだから成功する」
わけではない。
むしろ逆である。
良いことでも、
赤字なら止まる。
現実は厳しい。
だが、
これは悲観する話ではない。
産業というのは、
結局、
継続できる仕組みを作った者が勝つ。
だから
単なる理想論より、
「どう利益を出すか」
が重要になる。
たとえば、
廃棄物を燃料化する。
排熱を利用する。
汚泥を資源化する。
地域電力と組み合わせる。
カーボンクレジットを活用する。
環境対策単独ではなく、
“事業として回る形”
を作る必要がある。
実際、
世界を見ると、
環境規制は弱まっていない。
むしろ、
サプライチェーン全体で、
GHG排出量の開示要求は強まっている。
つまり企業は、
「やる・やらない」
ではなく、
「どうやって採算を取るか」
の段階に入っている。
ここを乗り越えた企業は、
かなり強い。
逆に言えば、
今は淘汰の時代なのである。
水素という言葉には、
どうしても未来感がある。
だが現実には、
水素事業はかなり苦戦している。
理由は単純で、
まだ高いのである。
作るのも高い。
運ぶのも高い。
保存も高い。
しかも、
水素は軽すぎる。
つまり、
扱いが難しい。
液化すればエネルギーが必要。
圧縮しても設備が必要。
パイプラインも簡単ではない。
技術が存在しても、
「商売として成立するか」
は別問題なのだ。
ここが非常に重要である。
環境事業は、
理想だけでは回らない。
結局は、
経済合理性が必要になる。
だから今、
世界中で起きているのは、
「水素の否定」ではない。
“用途の選別”
である。
たとえば乗用車は、
EVが優勢かもしれない。
しかし、
製鉄。
化学。
船舶。
大型発電。
航空燃料。
このあたりは、
むしろ水素系燃料が有力視されている。
つまり、
全部を水素にするのではなく、
「水素でしか難しい分野」に
集中し始めているのである。
これは、
むしろ産業が成熟し始めた証拠かもしれない。
ブームが終わると、
本当に必要な用途だけが残る。
そして、
そこから本物の産業になる。