雨は、
多すぎれば災害になります。
しかし本来、
雨はなくてはならないものです。
森を育てます。
農作物を育てます。
川をつくります。
地下水になります。
海へ栄養を運びます。
問題は、
雨そのものではありません。
短時間に大量に降ること。
そして、
その雨を受け止められない街をつくってしまったことです。
だからこれからは、
降った雨を、
すぐに流して捨てるだけではなく、
貯める。
染み込ませる。
使う。
ゆっくり流す。
という発想が必要になります。
脱炭素。
気候変動適応。
グリーンインフラ。
流域治水。
TNFD。
別々の言葉に見えますが、
実はかなりつながっています。
環境とは、
CO₂だけを考える仕事ではありません。
空気。
水。
土。
生き物。
そして、その中で暮らす人や企業。
すべてを見ること。
大雨が増える時代だからこそ、
もう一度、
「水の行方」を考えてみる必要があるのだと思います。
大雨への対応で重要なのは、
「今、水がどうなっているのか」
を知ることです。
川の水位。
水路の水位。
マンホールの水位。
調整池の水位。
ポンプの稼働状況。
以前は人が現場へ行って確認していた情報も、
センサーや通信技術を使えば遠隔で把握できるようになっています。
大雨のときほど、
現場へ人を送り込むこと自体が危険です。
だからこそ、
測る。
送る。
見る。
判断する。
という仕組みが重要になります。
環境の世界でも、
「測ること」は基本です。
CO₂もそうです。
水質もそうです。
生物多様性もそうです。
そして防災も同じです。
見えないものは管理できません。
大雨対策も、
まず水の状態を見えるようにするところから始まります。
大雨は防災だけの問題ではありません。
企業経営にも直接影響します。
工場が浸水する。
設備が停止する。
倉庫の商品が使えなくなる。
従業員が出社できない。
物流が止まる。
取引先から部品が届かない。
自社が被災していなくても、
サプライチェーンのどこかが被災すれば、生産が止まることがあります。
これが気候変動の「物理的リスク」です。
企業はこれまで、
地震や火災を想定したBCPをつくってきました。
これからは、
洪水。
内水氾濫。
高潮。
土砂災害。
猛暑。
こうした気候リスクも経営リスクとして考える必要があります。
環境対策は、
単に環境に良いことをする活動ではありません。
事業を継続するための経営戦略でもあります。
環境省も2026年、企業向けの「気候変動の物理的リスク評価の手引き」を公表しました。
大雨対策というと、
大規模な公共工事を想像します。
しかし企業にもできることがあります。
例えば駐車場です。
全面を水を通さない舗装にすれば、
降った雨のほとんどが一気に排水設備へ流れ込みます。
一方、
透水性舗装。
雨水貯留槽。
植栽帯。
雨庭。
地下浸透設備。
こうしたものを組み合わせることで、雨水の流出を遅らせることができます。
一つの敷地だけなら、
効果は小さいかもしれません。
しかし、
工場。
物流施設。
商業施設。
マンション。
オフィス。
街中の敷地が少しずつ雨を受け止めれば、流域全体では大きな違いになります。
企業の環境対策というと、
屋根に太陽光パネルを載せることが注目されます。
これからは、
「その屋根に降った雨をどうするか」
まで考える時代になっていくと思います。
川の水害対策というと、
堤防を高くする。
川幅を広げる。
ダムをつくる。
以前は、こうした河川そのものへの対策が中心でした。
もちろん、それらは今でも重要です。
しかし大雨が激しくなれば、
川だけを見ていても十分ではありません。
山に降った雨。
田畑に降った雨。
住宅地に降った雨。
工場や道路に降った雨。
それらが最後には川へ集まります。
そこで現在進められているのが、
「流域治水」
という考え方です。
川だけではなく、
流域全体で雨を受け止める。
行政だけではなく、
企業、地域、住民も参加する。
水は行政区域を見て流れているわけではありません。
上流から下流まで。
山から海まで。
水の流れ全体を見る。
環境問題も、本来はそういうものなのだと思います。
国土交通省も、気候変動を踏まえた流域治水を全国で進めています。