環境事業は、「正義」だけでは続かない

  • 2026年05月24日

環境事業に関わる人ほど、
時々これを忘れてしまう。

「良いことだから成功する」
わけではない。

むしろ逆である。

良いことでも、
赤字なら止まる。

現実は厳しい。

だが、
これは悲観する話ではない。

産業というのは、
結局、
継続できる仕組みを作った者が勝つ。

だから
単なる理想論より、
「どう利益を出すか」
が重要になる。

たとえば、

廃棄物を燃料化する。
排熱を利用する。
汚泥を資源化する。
地域電力と組み合わせる。
カーボンクレジットを活用する。

環境対策単独ではなく、
“事業として回る形”
を作る必要がある。

実際、
世界を見ると、
環境規制は弱まっていない。

むしろ、
サプライチェーン全体で、
GHG排出量の開示要求は強まっている。

つまり企業は、
「やる・やらない」
ではなく、
「どうやって採算を取るか」
の段階に入っている。

ここを乗り越えた企業は、
かなり強い。

逆に言えば、
今は淘汰の時代なのである。

水素の未来

  • 2026年05月23日

水素という言葉には、
どうしても未来感がある。

だが現実には、
水素事業はかなり苦戦している。

理由は単純で、
まだ高いのである。

作るのも高い。
運ぶのも高い。
保存も高い。

しかも、
水素は軽すぎる。

つまり、
扱いが難しい。

液化すればエネルギーが必要。
圧縮しても設備が必要。
パイプラインも簡単ではない。

技術が存在しても、
「商売として成立するか」
は別問題なのだ。

ここが非常に重要である。

環境事業は、
理想だけでは回らない。

結局は、
経済合理性が必要になる。

だから今、
世界中で起きているのは、
「水素の否定」ではない。

“用途の選別”
である。

たとえば乗用車は、
EVが優勢かもしれない。

しかし、
製鉄。
化学。
船舶。
大型発電。
航空燃料。

このあたりは、
むしろ水素系燃料が有力視されている。

つまり、
全部を水素にするのではなく、
「水素でしか難しい分野」に
集中し始めているのである。

これは、
むしろ産業が成熟し始めた証拠かもしれない。

ブームが終わると、
本当に必要な用途だけが残る。

そして、
そこから本物の産業になる。

EVの苦戦

  • 2026年05月22日

EVが苦戦している。

最近は、
「やっぱりハイブリッドだ」
という論調も強い。

確かに、
現実問題として、
EVにはまだ課題が多い。

充電時間。
航続距離。
寒冷地性能。
中古価格。
そして、
充電インフラの採算。

特にインフラ事業は厳しい。

充電器は、
設置した瞬間から固定費が発生する。
しかし、
利用者が増えなければ、
売上は立たない。

つまり、
「先に作らないと普及しない」
のに、
「普及しないと儲からない」。

これは非常に苦しい構造である。

鉄道黎明期の駅前も、
高速道路初期のサービスエリアも、
実は似たような問題を抱えていた。

今のEV業界は、
まだその段階なのだと思う。

しかも、
日本は特殊である。

日本には、
世界最強クラスのハイブリッド技術がある。

だから、
海外ほど一気にEVへ振れにくい。

これは悪いことではない。
むしろ現実的である。

ただし、
だからと言って、
電動化が消えるわけではない。

物流車両。
都市交通。
社用車。
小型モビリティ。
フォークリフト。

静かに、
確実に、
電動化は進んでいる。

環境技術というのは、
ある日突然、
世界が全部変わるわけではない。

じわじわ進み、
気が付くと、
後戻りできなくなっている。

そういう種類の変化なのである。

雨の日

  • 2026年05月21日

雨の日は、
少しだけ街の音が変わります。

車の音も、
人の足音も、
いつもよりやわらかく聞こえます。

窓の外を見ていると、
水というものは不思議だなと思います。

空から降ってくる。
地面にしみこむ。
川に流れる。
海へ向かう。
そしてまた、どこかで空へ戻っていく。

とても当たり前のことなのに、
その循環の中で、私たちは暮らしています。

環境の仕事をしていると、
水のことを考える場面がよくあります。

きれいな水を守ること。
汚れた水をきちんと処理すること。
限られた資源として、大切に使うこと。

言葉にすると少し堅くなりますが、
雨の日に窓の外を眺めていると、
それはもっと身近なことに感じられます。

傘をさして歩く人。
濡れた道路に映る信号。
軒先で雨宿りをする人。

その全部が、
水のある風景です。

雨は、少し面倒です。

でも、雨が降らなければ、
育たないものがあります。

見えないところで、
静かに満たされていくものがあります。

環境の仕事も、
少し似ているのかもしれません。

すぐに成果が見えることばかりではありません。

けれど、
今日の雨のように、
どこかで静かに、
次の芽を育てている。

そう思うと、
雨の日も少し悪くありません。

仲間

  • 2026年05月20日

仕事は、
結局ひとりではできません。

社内の仲間。
現場の方々。
パートナー企業。
行政の方。
海外で動いてくださる方。
専門家の先生方。

ひとつの案件の後ろには、
本当に多くの人がいます。

普段はメールやオンライン会議ばかりでも、
たまに直接会って話すと、
やはり違います。

画面越しでは伝わらない空気があります。

ちょっとした雑談。
何気ない表情。
食事をしながら出る本音。

そういうものの中に、
次の仕事のヒントが隠れていることがあります。

環境問題は大きいです。
制度も複雑です。
課題も簡単ではありません。

でも、最後に動かすのは、
やはり人なのだと思います。

信頼できる仲間と、
少しずつ前に進む。

大げさではなく、
それが一番強い力なのかもしれません。

古いものと新しいもの

  • 2026年05月19日

古いものには、
不思議な力があります。

古い建物。
古い道具。
古い街並み。
長く使われてきたものには、
そこに時間が染み込んでいます。

一方で、環境の仕事では、
新しい技術や新しい仕組みも必要です。

再生可能エネルギー。
資源循環。
カーボンクレジット。
省エネ技術。
海外との連携。

新しい言葉はたくさんあります。

でも、古いものをすべて捨てて、
新しいものだけに置き換えればよい、
という話でもないように思います。

大切なのは、
今あるものをどう活かすか。

地域にある資源。
会社にある経験。
現場にある知恵。
人の中に残っている記憶。

そこに新しい技術を、
無理なく重ねていく。

環境の仕事は、
未来だけを見ているようで、
実は過去を丁寧に見つめる仕事でもあるのかもしれません。

移動中

  • 2026年05月18日

出張の移動中は、
意外と大切な時間です。

新幹線の窓から景色を眺めていると、
頭の中でいろいろなものが整理されていきます。

田んぼ。
川。
山。
工場。
住宅地。
遠くに見える海。

日本は本当に、いろいろな景色でできています。

環境という言葉は大きいですが、
実際には、こうした一つひとつの場所の集まりです。

地域によって課題は違います。
水の問題も、廃棄物の問題も、エネルギーの使い方も違います。

だから、同じ答えをどこにでも当てはめることはできません。

その土地に合うやり方。
その会社に合う進め方。
その人たちが続けられる仕組み。

簡単ではありません。

でも、簡単ではないからこそ、
考える意味があるのだと思います。

車窓を見ながら、
今日もそんなことを考えています。